サイバー大学のFD活動と推進組織

サイバー大学では、FD(ファカルティ・ディベロップメント)を、単なる授業改善ではなく、教育全体の改善への取り組みと位置づけ、さまざまな施策を実行しています。
2009年度から2012年度までは、主に「FD委員会」を中心として教育改善への取り組みを行ってまいりましたが、2013年度より、学長のリーダーシップの下、教育研究に係る組織的な改善活動を迅速に推進できる体制を構築するために、「全学運営委員会」が付託する「FD専門部会」にてFD活動を推進するよう、組織改編を行いました。
「FD専門部会」は、その位置付けとして全学共通の教育改善に係る活動を指揮するものですが、その他の専門部会(IT総合学部専門部会(2019年1月よりFD専門部会に吸収統合)、語学専門部会、教養専門部会)においても、部局ごとにFD活動を推進しています。

各専門部会の主な審議事項

FD専門部会

  • 大学全体のカリキュラムと授業運営に関する事項
  • 教員の教育内容、方法の改善、教育技術の向上に関する事項
  • 前項について学部等の取り組みの推進に関する事項
  • 授業評価アンケートの企画・実施・集計・分析・評価に関する事項
  • その他FDの推進に関する事項

語学専門部会

  • 外国語科目の教育改善に関する事項
  • 外国語科目のカリキュラムに関する事項
  • 外国語科目の授業評価アンケート項目に関する事項
  • その他外国語科目の授業運営に関する事項

教養専門部会

  • 教養科目の教育改善に関する事項
  • 教養科目のカリキュラムに関する事項
  • 教養科目の授業評価アンケート項目に関する事項
  • その他教養科目の授業運営方法に関する事項

FDに関する施策

カリキュラム改善

本学の定める3つの方針(アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシー)に沿って、より効果的かつ体系化された教育を提供するため、授業運営の状況や学生の学修活動の実態を毎学期確認し、逐次カリキュラムの改善を行っています。カリキュラム全体の体系性と順次性を表したマイクロクレデンシャル制を導入しており、分野別の知識・技術を身に付けた証明となるオープンバッジを段階的に取得していくために、適切な履修順序を示した科目履修体系図を作成し、各科目に「科目レベル」を付与することで、学生はもちろん、教員自身も、カリキュラム全体の中での各科目の難易度、位置づけ、役割を意識できるようにしています。

インストラクショナルデザイン

授業の設計・開発・改善にあたっては、代表的なインストラクショナルデザインのプロセスであるADDIEモデル(A:Analysis 分析、D:Design 設計、D:Development 開発、I:Implementation 実施、E:Evaluation 評価)を採用しています。授業内容が教育課程全体の編成趣旨に沿ったものになるよう、専門的な知識を有したインストラクショナルデザイナーおよびアシスタント・インストラクショナルデザイナーが「分析」から「評価」までの各フェーズに関わり、授業改善のためのアドバイスを行っています。

シラバス改善

シラバスは、科目の情報をわかりやすく提供するため、また、各科目の位置づけや役割を明確にするため、教員がインストラクショナルデザイナーとともに作成した「授業設計書」の項目にもとづいて作成されています。科目区分・科目レベル・科目形式に応じた「シラバス作成ガイドライン」を策定し、毎学期、記載内容の見直し・改善を行っています。さらに、実際の授業内容や評価基準等がシラバスの記載通りに進められるよう、システム的な連携による管理を行っています。

受講状況データの全学的共有

eラーニングならではの利点を活かし、学習システムから取得できる全学生の受講状況データを全学的に管理しています。履修継続率や最終的な単位修得率の向上を目的として、サイレント(全講義未視聴)学生、講義途中でのドロップアウト兆候のある学生の割合などの受講状況データを隔週、教職員全体に共有しています。履修率の時系列データや他科目との比較を行うことで、各科目における授業の構成、内容や課題難易度の改善、さらには全学的なカリキュラムの改善などに役立てています。

授業評価アンケートの全学的実施

授業評価アンケートは、全科目の全受講者を対象に、開学時(2007年度春学期)以来毎学期実施しています。授業評価アンケートの結果は、授業の振り返りと改善のための重要な指標として、各学期終了後、すべての教員に配布しています。各教員は毎学期、授業評価アンケートの結果を参考に授業の内容および運営の振り返りを行い、翌学期に向けた授業改善に努めています。

授業サポートセンターとの連携

授業サポートセンターには、TA(ティーチングアシスタント)およびLA(ラーニングアドバイザー)が多数配置されており、教員の指導補助者として、組織的な授業支援および学修支援を行っています。授業サポートセンターでは、毎月、より良い授業運営・学修支援のための集合研修と情報共有を行っています。

FD研究会・研修会の企画、実施

主に専任の教職員を対象に、FD専門部会の企画により、授業開発、授業運営、学修支援など、さまざまなテーマについて、FD研究会やFD研修会を実施しています。開催された研究会・研修会の情報は、客員教員を含めた全教職員へ共有されています。過去の開催状況については、「FD活動の記録」(下記)をご覧ください。

教員の人事評価

専任教員の適正な処遇および能力開発を図ることを目的として、専任教員の「教育」「校務・経営貢献」「研究」「社会貢献」の活動全般について総合的に評価する教員業績評価を実施しています。専任教員を対象にした半年に一度の教員面談では、学部長より、受講状況データや授業評価アンケート結果に基づくフィードバックや、具体的な授業運営の改善提案なども行われています。

教員の教育研究力向上のための支援

教員の教育研究力の向上を一層図るため、本学の特色である「eラーニング教育等」に関する研究活動を組織的に支援する「重点課題研究発表補助費」交付制度を導入しています。研究成果は、日本教育工学会や教育システム情報学会、日本工学教育学会、日本カリキュラム学会、教育メディア学会、日本通信教育学会などにおいて外部発表を行っているほか、学内紀要「eラーニング研究」の投稿論文集にもまとめられています。

学習システムの機能改善と活用推進

教育効果の向上と教員負担の軽減を目的として、授業設計から授業運営、成績管理まで、さまざまな場面において学生・教職員のニーズを実現できるよう、学習システムの機能改善と活用推進に取り組んでいます。

FD活動の記録