2025.02.13

ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違いは?比較ポイントやメリットを解説

「ITパスポート試験」と「基本情報技術者試験」は、いずれもIPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験です。いずれもIT系の国家資格のため、両者の違いや取得メリット等について、気になることがあるのではないでしょうか。そこで本記事では、ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違いについて、詳しく解説します。

ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違いを比較

ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違いについて、次のポイントから比較していきます。なお、本記事の内容は2025年1月現在のものなので、最新情報については必ず公式サイトをご確認ください。

  • レベル区分
  • 受験対象者
  • 試験形式
  • 出題範囲
  • 試験日程
  • 受験費用
  • 合格ライン
  • 合格率・難易度
  • 目安勉強時間

レベル区分

IPAが提唱する「共通キャリア・スキルフレームワーク」によると、ITパスポート試験は「レベル1」、基本情報技術者試験は「レベル2」となっており、基本情報技術者試験の方が難易度が高いです。

つまり、基本情報技術者試験はITパスポート試験の上位資格であり、ITパスポート試験の知識は基本情報技術者試験の対策にも役立ちます。ただし、基本情報技術者試験に受験資格の制限はないため、いきなり基本情報技術者試験にチャレンジすることも可能です。

受験対象者

ITパスポート試験は、ITリテラシーの向上や基本的なIT技術の活用をめざす人が対象となります。一方で基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしての基本的な知識・スキルを身に付けたい人が対象です。そのため、基本情報技術者試験を取得しておくことで、ITエンジニアとして就職・転職する際に評価される可能性があります。

試験形式

ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、いずれもコンピュータ上で行われる「CBT方式」の試験です。試験時間はITパスポート試験が120分で、基本情報技術者試験は科目A試験が90分・科目B試験が100分です。

ちなみに、紙面上で行われるアナログ形式は「PBT方式」と呼ばれており、例えば「応用情報技術者試験」や「情報処理安全確保支援士試験」が該当します。

出題範囲

ITパスポート試験の出題範囲は次の通りです。

分野

内容

テクノロジ系
  • 基礎理論
  • コンピュータシステム
  • 技術要素
マネジメント系
  • 開発技術
  • プロジェクトマネジメント
  • サービスマネジメント
ストラテジ系
  • 企業と法務
  • 経営戦略
  • システム戦略

一方で、基本情報技術者試験の出題範囲は次のようになっています。

分野

内容

テクノロジ系
  • 基礎理論
  • コンピュータシステム
  • 技術要素
  • 開発技術
マネジメント系
  • プロジェクトマネジメント
  • サービスマネジメント
ストラテジ系
  • システム戦略
  • 経営戦略
  • 企業と法務

一見すると同じ内容の分野が多いですが、ITパスポート試験よりも基本情報技術者試験の方が、より専門的・発展的な知識が求められます。

試験日程

ITパスポート試験と基本情報技術者試験は、いずれもCBT形式であるため随時開催となっており、受験のタイミングが柔軟に選べます。ただし、両試験とも受験できるのは指定会場に限られており、会場によって実施される日程が異なるので、事前に確認しておくことが大切です。

受験費用

受験費用に関しては、ITパスポート試験と基本情報技術者試験のいずれも、7,500円(税込)となっているため違いはありません。支払方法に関しては、クレジットカードやコンビニ払いが利用できますが、支払方法によって期限が異なるので注意が必要です。

合格ライン

ITパスポート試験の合格ラインは、総合評価点が1000点満点中600点以上で、なおかつストラテジ・マネジメント・テクノロジの分野別評価点が1000点満点中300点以上であることです。そのため、「苦手分野を得意分野でカバーする」ということは難しいかもしれません。

一方で基本情報技術者試験は、科目A試験と科目B試験の双方で1000点満点中600点以上を得点すると合格です。科目Aは全60問の四択問題で、科目Bは長文を読んで解答する多肢選択式となります。

合格率・難易度

IPAの統計情報によると、ITパスポート試験基本情報技術者試験のいずれも、合格率はおおむね50%前後で推移しています。ただし、前述したように両者はレベル区分が異なり、基本情報技術者試験の方が応用的な内容なので難易度が高いです。

目安勉強時間

IT分野の経験がない人の場合、ITパスポート試験は約100時間、基本情報技術者試験は約200時間が勉強時間の目安だと考えられています。1日当たり2時間勉強する場合は、ITパスポートが約2か月、基本情報技術者試験は3~4か月の勉強期間が必要となるでしょう。従って、受験予定日から逆算して勉強スケジュールを立てることが大切です。

ITパスポート試験を取得するメリット

ITパスポート試験を取得するメリットとして、次のようなものがあります。

  • ITリテラシーが向上する
  • 経営やビジネスの知識も身に付く

ITリテラシーが向上する

ITパスポート試験では、IT分野に関する幅広い知識が求められるため、IT技術を活用するための基本的なスキルが身に付きます。また、近年ではIT化が急速に進んでいるため、非IT企業でもIT関連の知識・スキルが求められる場面が増えています。ITパスポート試験を取得することで、自身のITリテラシーをアピールできるでしょう。

経営やビジネスの知識も身に付く

試験科目に「ストラテジ系」の分野が含まれることから、例えばSWOT分析・BSC・財務諸表分析等のような、ビジネス全般で必要な知識も身に付きます。そのため「ITシステムを経営にどう活用するか」のような、IoT・AI・ビッグデータ等をビジネスに活用する際の課題にも対応しやすくなります。

基本情報技術者試験を取得するメリット

基本情報技術者試験を取得するメリットとして、次のようなものがあります。

  • 企業からの評価が高まる
  • 就職や転職でアピールできる
  • ITエンジニアをめざせる

企業からの評価が高まる

基本情報技術者試験を取得することで、IT技術を現場で活用するための知識・スキルがあることを証明できるため、IT人材として企業からの評価が高まります。IT関連の高度な知識を有することを証明できることから、基本情報技術者試験の取得者に「資格手当」を支給している企業もあるのです。

就職や転職でアピールできる

さまざまな業界でIT化が急速に進んでいることや、生産年齢人口の減少によりIT人材が不足しているため、非IT企業であってもIT人材の需要が高まり続けています。基本情報技術者試験の勉強をすることで、IT分野に関する基本的な知識・スキルを習得できます。

さらに、基本情報技術者試験は国家資格であり認知度や信頼性が高いため、就職・転職時に自身を「IT人材」としてアピールしやすくなるでしょう。

ITエンジニアをめざせる

前述したように、基本情報技術者試験はIT技術者向けの国家資格なので、ITエンジニアをめざすための足掛かりになります。ITエンジニアであれば、「応用情報技術者試験」以上のレベルの資格が求められる可能性がありますが、基本情報技術者試験を取得しておくことで上位資格の学習もスムーズに進みやすくなるでしょう。

ITパスポート試験と基本情報技術者試験のどちらがお勧め?

ITパスポート試験と基本情報技術者試験には受験資格がないため、どちらでも受けることができます。その際は、次のようなポイントを意識して選びましょう。

  • ITパスポート試験:「IT利用者」に向いている
  • 基本情報技術者試験:「ITエンジニア」に向いている

ITパスポート試験:「IT利用者」に向いている

ITパスポート試験は、情報処理技術者試験の入門レベルに位置付けられている資格なので、IT分野の知識や実務経験がない人に適しています。また、IT分野の専門知識というよりは幅広い分野を浅く広く学ぶため、ITエンジニアではなく非IT企業で働く人にもお勧めです。

言い換えれば、ITパスポート試験は「IT利用者」に向いている資格ということです。もちろん、将来的に基本情報技術者試験や応用情報技術者試験をめざす人も、基礎を習得するという意味で、まずはITパスポート試験にチャレンジしてみるのがいいでしょう。

基本情報技術者試験:「ITエンジニア」に向いている

基本情報技術者試験は、より実践的な知識・スキルが習得できる資格なので、これからITエンジニアをめざす場合や、すでにIT業界で実務経験を積んでいる人に向いています。

前述したように、基本情報技術者試験は企業からの信頼や評価が高い国家資格なので、現職での評価が高まったり、転職時に自身の価値をアピールしやすくなったりします。よりハイレベルな基本情報技術者試験や、情報処理安全確保支援士試験のような「高度試験」へのステップアップにも役立つので、ITエンジニア志望の方にお勧めです。

ITパスポート試験や基本情報技術者試験をめざすならサイバー大学へ!

ITパスポート試験はIT分野の初学者向きの国家資格で、IT利用者やITリテラシーが必要な人に適しています。一方で基本情報技術者試験は、ITエンジニアとして活躍したい人が、必要な知識やスキルを身に付けるために適した資格です。いずれの資格を取得する場合でも、適切な方法での学習が欠かせません。

通信制大学の「サイバー大学」では、ITパスポート試験や基本情報技術者試験に合格するために役立つ知識・スキルについて、周辺知識も含めて体系的に学べます。フルオンラインの学習環境のため働きながら通いやすく、卒業すれば大卒資格が得られることから将来の幅が広がるでしょう。

さらに、サイバー大学には「資格取得奨励金制度」があり、在学中に資格を取得するとITパスポートは15,000円・基本情報技術者試験は25,000円が支給されるため、受験コストの負担も軽減しやすいことが魅力です。ITパスポート試験や基本情報技術者試験の取得に関してお悩みの方は、この機会にぜひサイバー大学を検討してみてください。