世界中でDXの波が押し寄せるなか、ITリテラシーはビジネスワーカーに必須の知識となりました。そこで取得が推奨されているのが、実践的なITの知識を証明する国家資格「ITパスポート試験」です。しかし、合格をめざして勉強しようにも、初めて受験する方は何から手を付ければよいか分かりませんよね。
今回の記事では、ITパスポート試験の勉強方法を紹介します。社会人が働きながら効率良く学習を進めるポイントや、合格率が格段にアップする勉強のコツもお伝えします。
ITパスポート試験ってどんな資格?
まず、ITパスポート試験とはどのような資格なのか、メリットや試験の内容も踏まえておさらいしておきましょう。
ITパスポート試験とは
「ITパスポート試験」とは、ITに関する幅広い基礎知識を有することが証明できる国家資格です。全12の試験区分がある「情報処理技術者試験」の第一段階に位置付けられています。
なお、ITパスポート試験に特定の受験資格はありません。年齢・経験の有無を問わず誰でも受験できます。また試験は、原則として全国の試験会場で随時実施されているテストセンター型です。しかし、身体の不自由等のやむを得ない理由があればその限りではありません。
なお、ITパスポート試験についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
ITパスポート試験のメリット
ITパスポート試験に合格するメリットは、主に次の4つです。
- ITの基礎知識およびIT以外のビジネススキルが身に付く
- 上位試験への足がかりになる
- 幅広い分野で需要の高い国家資格のため就職や進学で有利に働く
- 更新の必要がないため資格の維持に費用が掛からない
上記の理由から、ITがあらゆる分野に浸透している現代において、どのような業界で働く方にも取得が推奨されています。
ITパスポート試験の出題範囲および形式
ITパスポート試験で問われるのは、ビジネスに必要な情報機器およびそのシステムの把握・遂行と、システム化推進のための全般的な基礎知識です。具体的には「ストラテジ系(経営全般)」「マネジメント系(IT管理)」「テクノロジ系(IT技術)」の基礎問題から幅広く100問が出題されます。
また、ITパスポート試験の内容は筆記のみです。出題形式はコンピュータによるCBT方式、採点はIRT方式で行われます。設問ごとの点数ではなく、項目の特性に基づく評価点を基準に合否が判定されるため、受験時期・出題内容等による有利・不利がありません。
ただし、上記の内容は2024年10月時点のものです。変更の可能性もあるため、事前に必ずITパスポート試験の公式サイトをチェックしてください。
ITパスポート試験の難易度
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次に、ITパスポート試験の難易度を、合格率と必要な勉強時間の2つの視点からみていきましょう。
ITパスポート試験の合格率
ITパスポート試験の合格率は例年50%前後、つまり2人に1人は受かる程度の難易度です。小学生の合格者もいることから分かるように、高難易度の試験ではないといえます。とはいえ、言い換えれば受験者の半数は不合格になるということであり、何の勉強もせずに受かるほど易しい試験ではありません。
ITパスポート試験合格までの勉強時間
ITパスポート試験に合格するためにどれくらいの勉強時間が必要かは、現時点でのIT知識の有無や程度によって異なります。
あらかじめITに関する知識や経験がある人なら、必要な勉強時間は100時間程度です。ITの基礎は身に付いていると考えられることから、経営・会計・財務等のストラテジ系(経営全般)の知識を中心に学ぶことになります。
一方、IT知識がほどんとない初心者の場合、必要な勉強量が多いため、合格までの所要時間は約180時間です。専門用語等の基礎的な知識の理解から始めた後に問題形式に移ることから、計画的かつ効率的な勉強を要します。
ITパスポート試験の勉強方法
ITパスポート試験対策では、インプット・アウトプットの反復学習が基本です。続いては、ITパスポート試験の勉強方法を各工程に分けて説明します。
インプット:用語の暗記・理解
ITパスポート試験の勉強を始めるにあたり、まずやるべきことは出題される知識のインプットです。テキストや用語集等を使い、関連ワードの暗記およびその意味をしっかりと理解します。
特に、試験の頻出用語や最近くわわった新しい用語は要チェックなので、ノート等にまとめて重点的に覚えましょう。問題文に出てくる用語がスムーズに読み進められるようになるまで、しっかりと記憶に定着させていきます。
試験に出題される用語の暗記・理解は、今後の試験対策のベースとなる部分なので、手を抜いてはいけません。といっても、現段階で難解な問題は飛ばしてもOKです。インプットの段階では難しくても、基礎をしっかりと身に付けてからあらためて取り組むことで、格段に理解しやすくなります。
アウトプット:問題を解く
合格のためには、実践的なアウトプット作業が不可欠です。いくら知識を覚えていても、実際の問題で使いこなせなければ意味がありません。インプットした内容を基に、練習問題や過去問にチャレンジしましょう。
また問題形式での勉強方法は、あらかじめ本番に慣れておくという点でも重要だといえます。またアウトプットしていくうちに、自分の習熟度が目で見て分かるはずです。試験対策を進めるなかで見えてきた苦手な分野を重点的にカバーすれば、学習効率もぐっと上がります。
社会人がITパスポート試験の勉強をする方法
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社会人がITパスポート試験の合格を志す場合、主に次の3通りの方法のいずれか、もしくは併用しながら勉強を進めることになるでしょう。
- 独学する
- 通信教材を利用する
- 学校に入る
独学する
ITパスポート試験は独学での取得も可能です。特に、事前にITに関する知識・経験のある方なら、独学での合格の可能性も高いといえます。
独学の成功の鍵をにぎるのは教材選びです。テキストや問題集を活用するアナログ形式のほか、無料もしくは有料の勉強サイト・アプリでのオンライン形式等、多彩な学習手段があります。オンライン形式でインプットし、アナログ形式でアウトプットする等、自分が取り組みやすい勉強方法を模索してみましょう。
ただし、独学は学習指針から勉強方法、本番対策まですべて自分で考えて行わなければなりません。また一人きりで勉強するのはモチベーションの維持も難しいことから、誰でも簡単に合格できる方法ではないといえます。
通信教材を利用する
全くの初心者や、効率的な試験対策を求めている方は、通信教材を利用する手もあります。それぞれ独自のノウハウ・勉強方法を展開し、合格までの計画的なカリキュラムが組まれており、自分で教材を取捨選択する必要がありません。
また、採点や質問の受付等のサポートが得られる点も大きなメリットです。より上位の情報処理技術者試験の教材を取り扱っているケースも多く、その後のステップアップもスムーズにいきやすいでしょう。
ただ、現在販売されている通信教材の数は膨大であり、自分に最適なものを選ぶのは容易ではありません。くわえて、教材以外にもさまざまなサービス費用が加算されているため、独学よりコストが掛かりがちです。さらに教材によってサポート体制もさまざまなので、事前にしっかりチェックしておかないと期待外れになりかねない点に注意してください。
学校に入る
「1人でITパスポート試験の勉強を進める自信がない」「なかなかやる気が出ない」という方には、出題分野が学べる学校に入ることをお勧めします。メンターや同じ目標をめざす仲間と気軽に交流できる環境に身を置くことで、効率的な勉強方法が分かるだけではなく、モチベーションも保ちやすくなるでしょう。
ITパスポート試験の出題範囲の分野が学べるのは、大きく分けて専門学校と大学の2種類です。特に社会人の方がITパスポート試験の合格をめざすなら、通信制の大学が適しています。
通信制大学は、出題範囲およびそれに関わる幅広い知識を体系的に学べるので、学習への理解度がより高まります。また毎日通学する必要がなく、仕事で忙しくても勉強時間の調整が容易です。
さらに学修支援はもちろん、卒業後のキャリア形成のサポートも受けられます。卒業すれば大卒資格が得られ、進路の幅が広がるでしょう。費用面が厳しい場合は、資格取得奨励制度を設けている大学を選ぶことで、負担が軽くなるはずです。
ただし、大学での学びの最終目標は資格の取得ではありません。そのため、大学に入っただけでは必ずしもITパスポート試験に合格できるわけではない点に注意してください。大学ごとのカリキュラムを活用し、自ら進んで試験勉強を進めることが大切だといえます。
ITパスポート試験の勉強方法と併せて覚えておきたい最短合格の秘訣
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ITパスポート試験は難易度が極めて高い資格ではないため、チャレンジするなら最短期間での一発合格を狙いたいところ。そのためには、効果的な勉強方法を見付けるのはもちろん、いかに効率よく学習を進められるかどうかに掛かっています。ここからは、ITパスポート試験の最短合格をめざす9つのコツをお伝えします。
学習計画を立てる
ITパスポート試験の対策を始めるにあたり、まず取り組むべきことは学習計画の立案です。ITパスポート試験は月に試験日が数回あり、随時受験できます。それゆえ、はじめにどの試験を受けるのかを決めたうえ、どのように勉強を進めるかを考えましょう。
ただ、期日までの期間が長過ぎるとモチベーションが保てずだらけてしまいがちです。またITパスポート試験は出題範囲が広いため、何の計画もなくやみくもに勉強を始めるとカバーできない分野が出てくるかもしれません。
そこでもっともお勧めな目標設定は、ITパスポート試験の標準学習期間である3か月前後先の試験日です。初心者の場合、余裕を持って4か月程度先がよいでしょう。はじめに長期計画をざっくりと立て、それから短期のスケジュールや目標を組んでいくと到達度の確認やモチベーション維持に効果的です。試験当日までを具体的にシミュレーションし、そこから逆算して学習計画を立ててみてください。
分野別に勉強する
ITパスポート試験の勉強は、出題される分野別に対策しましょう。分野ごとに出題傾向やポイントが異なるため、まとめてやろうとするのは非効率的です。
特に初学者は、あれこれ分野を変えながら勉強すると混乱しやすくなります。例年の出題傾向をチェックしつつ、頻出分野は重点的に勉強してください。
スキマ時間を活用する
社会人の方は、仕事の合間のスキマ時間をうまく活用して勉強を進めましょう。仕事と勉強を両立させるには、限られた時間を有効活用することが肝心です。休日だけ勉強するのは1回の学習時間が長くなり、集中力が続かずきつくなってしまいます。
例えば平日の通勤・移動時間や昼休み、寝る前の空き時間等、ついだらけてしまいがちな余暇があるなら、それを使ってコツコツ勉強してみてください。また、朝活としてITパスポート試験の勉強に取り組むのもよいでしょう。
なお、スキマ時間に効率よく学びたいなら、通信制大学をお勧めします。教材選びが必要なく、疑問・質問の解決もスムーズなので、空き時間を最大限に有効活用できるはずです。
自分に合った勉強方法を見つける
ITパスポート試験の対策方法は多様であり、最適な勉強方法も人それぞれです。自分の知識量や好み、使いやすさ等を基準に、適した勉強方法・教材を選んでください。
なお一般的には、ある程度まとめてインプットしてからアウトプットする方が効率的だといわれています。逆に小分けにした方が覚えやすいという方もいるため、1問ずつインプットする度にアウトプットする等、自分が覚えやすくなるよう工夫してみましょう。
弱点を補強する
勉強するなかで苦手な分野が出てきたときは、そこを重点的に勉強することをお勧めします。ITパスポート試験では、各出題分野で合格ラインを超えなければなりません。評価点はそれぞれ300点以上と決められており、いくら得意分野で高得点を出せても、極端な苦手があると合格しづらくなってしまいます。
大切なのは高得点を取ることではなく、あくまでも合格することです。苦手分野をしっかり対策し、満遍なく合格ラインに到達することをめざしましょう。
なお初心者ならITの基礎から、ある程度の予備知識がある方はストラテジ系(経営全般)の補強が課題になるはずです。ただし苦手分野にばかり気を取られていると、その他が疎かになりがちなので注意してください。
過去問対策に取り組む
覚えた知識をアウトプットする際は、過去問対策も取り入れましょう。ITパスポート試験は例年、出題傾向が類似しているといわれているからです。そのため用語を覚えた後は、過去問対策がもっとも効果的かつ効率的な勉強方法だといえます。過去問の70〜80%が正解できれば、自信を持って試験に挑めるでしょう。
過去問対策では、当該年度から5年分は対策しておくと安心です。なお過去問はITパスポート公式サイトで無料開示されているので、ぜひチェックしてみてください。
模擬形式で本番に備える
ITパスポート試験の直前には、模擬形式での実践的な勉強方法にも取り組みましょう。本番は各分野120分のCBT試験です。模擬形式で慣れておくことで、合格の可能性が割り出せるほか、落ち着いて本番に挑めるでしょう。
なお、ITパスポート試験の公式サイトでは、CBT疑似体験ソフトウェアが無料公開されています。実際と同じ形式で試験が体験できるだけではなく、試験結果画面で正誤や正答数も確認できるため、直前対策にぴったりです。
間違えた問題をそのままにしない
間違えた問題はそのままにせず、必ず解説を読んで理解を深め、解けるようになるまで復習することが重要です。また復習後はしばらく時間を開け、再度チャレンジすることを何度も繰り返せば、分からない問題でもしっかりと定着させられます。
もしITパスポート試験の勉強を学校に通いながら進めているなら、理解に苦しむ部分はすぐに質問しましょう。勉強のつまずきが大きく減り、試験対策がぐっとはかどるでしょう。
メンターを持つ
ITパスポート試験をはじめとする資格の受験対策では、その道のプロのメンターがいれば百人力です。合格までの道のりを導いてくれるほか、質疑応答のやりとりもスムーズになるため、最短合格も夢ではありません。
信頼できるメンターを見つけたいなら、学校や大学への進学を検討してみてください。ITの専門知識を持つプロから、再現性の高い戦略を伝授してもらえるはずです。
ITパスポート試験の勉強はIT×ビジネスが体系的に学べる「サイバー大学」で!
基本的なITリテラシーが問われるITパスポート試験は、すでにITの知識がある方はもちろん、これから学ぶ方のファーストステップにもぴったりの資格です。経営全般の知識も出題範囲に含まれるため、社会人なら知っておくべきビジネスの基礎スキルも身に付きます。ITは今やすべての業界・業種に求められる知識なので、合格しておいて損はないでしょう。
しかし、ITパスポート試験の出題範囲や内容は幅広く、独学では理解やモチベーションの維持が容易ではありません。自分だけで勉強を進めるのが不安な方や、上位試験へのステップアップやキャリアアップまで視野に入れている方は「サイバー大学」への入学をぜひご検討ください。
完全オンラインの「サイバー大学」なら、通学の必要は一切ありません。ITパスポートの取得に活かせる実践的なIT×ビジネスのスキルがプロの教師陣から体系的に学べるほか、合格までのサポート体制も万全です。くわえて、ITパスポート試験の「資格取得奨励金制度」も設置しています。ITパスポート試験の勉強方法に悩みを抱えているなら、この機会にぜひ資料をご請求ください。