2024.12.17

応用情報技術者試験とは?難易度や学習方法を解説

「応用情報技術者試験」は、IT分野の専門的な知識・スキルが問われる国家資格です。ITの知識が幅広く身に付くことや、就職・転職で有利になること等から、応用情報技術者試験の重要度が高まっています。しかし、試験内容や難易度等、気になることもあるでしょう。そこで本記事では、応用情報技術者試験の概要やメリット、合格率や学習方法等について解説します。

応用情報技術者試験とは

応用情報技術者試験とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格で、高度IT人材として必要な応用知識・スキルが問われます。応用情報技術者試験に合格することで、技術・管理・経営まで幅広い知識と応用力が身に付くため、システム開発や構築等の業務に役立ちます。以上の点を踏まえて、応用情報技術者試験の概要を次のポイントから見ていきましょう。

  • 基本情報技術者試験の上位資格
  • 紙面上の「PBT方式」で行われる
  • 試験は4月と10月の年2回実施
  • 申し込みは公式サイト上で行う

基本情報技術者試験の上位資格

応用情報技術者試験は、ITを活用したサービス・製品・システム等を開発する人材に求められるような、IT分野の応用知識やスキルを持つ人が対象です。例えば、情報システムやデータベース等の設計・開発・運用・保守において、上位者の方針を理解して課題を解決できるような技術水準が期待されています。

なお、応用情報技術者試験はIPAが主催する「基本情報技術者試験」の上位資格として位置付けられている資格です。基本情報技術者試験と比較すると、よりチームの主要メンバーとして主体的な役割を果たせるような知識・スキルが求められます。ただし受験資格は特に指定されておらず、基本情報技術者試験に合格していなくても受験できます。

紙面上の「PBT方式」で行われる

応用情報技術者試験は「PBT(Paper Based Testing)方式」で行われます。PBT方式とは、筆記つまり紙面上で行われる試験であり、コンピュータ上で行われるCBT方式の基本情報技術者試験とは異なります。

試験は4月と10月の年2回実施

応用情報技術者試験はPBT方式なので、春期(4月)と秋期(10月)の年2回のみ、所定の会場で実施されています。随時受けられる基本情報技術者試験とは異なるため、申し込みのタイミングには注意が必要です。

申し込みは公式サイト上で行う

応用情報技術者試験の申し込みは、IPAの公式サイトから行います。基本的にはオンラインによる個人申込のみ可能で、電話予約や団体申込は不可となっています。前述したように、受験タイミングは春期と秋期の年2回しかないので、スケジュール管理に注意が必要です。

申込開始日は、試験日の約2か月前となっており、例えば10月の試験であれば7月ごろに申し込みが始まります。ただし、受験日の約2か月前に申し込みが締め切られるので、早めの申し込みが必須です。なお、応用情報技術者試験の受験料は7,500円(税込)で、クレジットカードやコンビニ払い等も可能となっています。

応用情報技術者試験に合格するメリット

応用情報技術者試験に合格するメリットとして、次のようなものが挙げられます。

  • ITの知識が幅広く習得できる
  • 就職や転職で有利になる
  • 国家試験の一部で優遇がある
  • 企業によっては資格手当が出る

ITの知識が幅広く習得できる

応用情報技術者試験を受験し、合格することで、IT関連の知識を幅広く習得することができます。前述したように、応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位資格であり、より実践的・応用的なスキルが身に付くことが魅力です。

また、情報処理技術者試験には応用情報技術者試験より上位の資格として、「ITストラテジスト試験」や「情報処理安全確保支援士試験」といった複数の「高度試験」があります。いずれも応用情報技術者試験の知識・スキルがベースとなるため、高度試験への足掛かりにもなるでしょう。

就職や転職で有利になる

近年では、生産年齢人口の減少や雇用の流動化等により、あらゆる業界で人手不足に陥っています。その対策としてIT化を推進する企業が増えているため、業界を問わずIT技術者の需要が高まっているのです。そのため、IT分野の業界ではなくても就職・転職時にITスキルが要求されることが増えています。

応用情報技術者試験は国家試験なので、合格することで就職・転職時に自身のITスキルが証明できるため、ITエンジニアをめざす場合は大きな利点となるでしょう。

国家試験の一部で優遇がある

前述したように、情報処理技術者試験にはさらに上位の「高度試験」がありますが、その際に一部試験の免除が受けられる場合があります。例えば、応用情報技術者試験に合格してから2年間は、上位試験の「午前I試験の免除申請」が可能になる等です。詳細については、IPAの各試験の公式サイトを確認してみましょう。

企業によっては資格手当が出る

企業によっては、応用情報技術者試験を受験し、合格することで、資格手当を受けることができる場合があります。多くの企業がIT人材を必要としている昨今、応用情報技術者試験は難易度・知名度ともに高いため、合格することでIT人材としての評価が高まるでしょう。つまり、応用情報技術者試験にチャレンジすることは、収入増加やキャリアアップにもつながるということなのです。

応用情報技術者試験の難易度と合格率

応用情報技術者試験の難易度と合格率について、次のポイントから見ていきましょう。

  • 資格のレベルは「レベル3」に該当する
  • 合格率は20~25%前後となっている
  • 合格に必要な勉強時間は約500時間

資格のレベルは「レベル3」に該当する

IPAが提唱する「共通キャリア・スキルフレームワーク」によると、応用情報技術者試験の難易度は「基本情報技術者試験」の上位に位置するレベル3となっています。情報処理技術者試験は、基礎知識が問われるレベル1から、高度な専門知識が求められるレベル4まで区分されています。基本情報技術者試験はレベル2で、高度試験はレベル4となっていることから、応用情報技術者試験はいわば上級レベルの資格だといえるでしょう。

合格率は20~25%前後となっている

応用情報技術者試験の合格率は、IPAの「統計情報」によると20~25%前後となっており、5人に1人しか受からない計算です。基本情報技術者試験の合格率が40%前後であることを考えると、応用情報技術者試験の難易度は高めだといえるでしょう。応用情報技術者試験は出題範囲が多岐にわたるため、実務経験を積んでいても事前対策なしで合格するのは難しく、出題範囲を網羅的に学習しておく必要があります。

合格に必要な勉強時間は約500時間

応用情報技術者試験に合格するためには、初学者の場合は500時間以上の勉強時間が必要だと考えられています。毎日2時間ずつ勉強したとしても、8~9か月ほどの勉強時間が必要ということになります。IT関連の基礎知識がある場合は200時間程度が目安となりますが、その場合でも1日2時間で3~4か月ほどの期間が必要になるため、計画的に勉強することが大切です。

応用情報技術者試験の出題内容・傾向

応用情報技術者試験の出題内容・傾向について、次のポイントから見ていきましょう。なお、本記事の情報は2024年10月時点のものなので、最新の情報は公式サイトをご確認ください。

  • 多岐にわたる専門分野が出題される
  • 午前の試験はマークシートによる四肢択一式
  • 午後の試験は11問中5問に解答する記述式

多岐にわたる専門分野が出題される

応用情報技術者試験は、技術から管理・経営まで幅広い知識と応用力が求められるため、その出題範囲も多岐にわたります。試験は午前と午後の部に分かれており、午前試験では知識、午後試験では応用力が問われる内容となっています。いずれも出題レベルは高いため、後述する出題範囲についてしっかり学ぶことが大切です。

午前の試験はマークシートによる四肢択一式

午前の試験は、マークシートによる四肢択一式となり、全80問に答える必要があります。試験時間は9時30分~12時までの150分で、具体的な出題分野・内容は次の通りです。

分野

概要

問題数

テクノロジ系

  • 基礎理論
  • アルゴリズム
  • コンピュータ構成要素
  • データベース
  • ネットワーク等

50問

マネジメント系

  • プロジェクトマネジメント
  • システム監査等

10問

ストラテジ系

  • システム戦略
  • 経営戦略
  • 企業活動
  • 法務等

20問

なお、午前の試験では知識を問う問題にくわえて、計算が必要な問題も出題されるので事前に慣れておきましょう。また、過去に出題されたことがある問題が半数近くを占めるため、「過去問対策」の重要度が非常に高いといえます。

午後の試験は11問中5問に解答する記述式

午後の試験は記述式で、全11問のうち5問を選んで解答する必要があります。試験時間は13時~15時30分までの150分で、問題文が長く設定も作り込まれているため、素早く読んで理解する読解力も求められます。また、午後の試験は午前とは異なり過去問は出題されませんが、基本的なパターンには大きな違いがないことが多いです。そのため、午後の試験でも過去問対策を丁寧に行っておくことが重要です。

応用情報技術者試験に合格するためのポイント・コツ

応用情報技術者試験に合格するためのポイント・コツとして、次のようなものが挙げられます。

  • 参考書や過去問を活用する
  • まずは「基本情報技術者試験」に合格する
  • 学校やスクールを活用する

参考書や過去問を活用する

応用情報技術者試験に限らず、資格試験の出題内容にはある程度のパターンがあるため、過去問を繰り返し解くことで出題傾向が分かります。前述したように、午前の試験には過去問が出題されるうえに、午後の試験でも全体的な傾向が似ているものが出題されることが多いです。そのため、参考書で基本的な知識を身に付けたうえで過去問を繰り返し解くことで、合格の可能性を高めることができるでしょう。

まずは「基本情報技術者試験」に合格する

応用情報技術者試験には受験資格がなく、基本情報技術者試験に合格しておく必要はありません。しかし、応用情報技術者試験は基本情報技術者試験の上位試験なので、あらかじめ基本情報技術者試験に合格しておくことで、応用情報技術者試験対策をスムーズに行いやすくなります。そのため、まずは基本情報技術者試験にチャレンジしてから、応用情報技術者試験でステップアップをめざすというのも効果的です。

学校や資格試験対策講座を活用する

後述するように、応用情報技術者試験で求められる知識は独学でも習得できますが、学校や資格試験対策講座を活用するのもお勧めです。IT系の大学や学科では、IT業界で必要とされる専門知識について、周辺知識も含めて網羅的・体系的に学べることがメリットです。

例えば通信制大学の「サイバー大学」では、応用情報技術者試験の受験に活かせる科目が豊富にあるうえに、学習サポートも充実しています。分からないところは質問ができるため、IT分野の経験がない人でも安心して学ぶことができます。

応用情報技術者試験は、次のような方法で対策することができます。

  • 独学で学ぶ
  • 学校で学ぶ

独学で学ぶ

IT業界での実務経験がある人は、応用情報技術者試験の対策を独学で行うことが可能です。まずは午前試験の内容をしっかり理解して必要な知識を身に付けてから、午後試験の対策を行うことが大切です。前述したように過去問対策が重要なので、繰り返し解いてパターンをつかむことで試験で得点しやすくなるでしょう。ただし、独学の場合は短期間で網羅的・体系的に学ぶのが難しいことがあるため注意が必要です。

学校で学ぶ

独学で応用情報技術者試験の対策を行うハードルが高い場合は、専門学校や大学等で学ぶのが効果的です。通信制大学の「サイバー大学」では、応用情報技術者試験の勉強に活かせる科目が豊富にあるため、試験対策はもちろん実務に役立つ知識・スキルを身に付けることができます。

さらに、サイバー大学在学中に応用情報技術者試験に合格すると、「資格取得奨励金制度」の奨励金45,000円を受け取れます。金銭的な負担を減らすことができるため、モチベーションを維持しながら学べるでしょう。卒業すれば大卒資格が得られるため、進路が広がる点も大きなメリットです。

応用情報技術者試験の合格をめざすならサイバー大学へ!

応用情報技術者試験では、高度IT人材として必要な専門知識やスキルが問われます。合格することでITの知識がより深く身につき、就職・転職でも有利になることが魅力です。ただし、応用情報技術者試験はレベル3で難易度が高いため、独学よりも大学やスクールで学ぶ方が安心して試験対策ができるでしょう。

通信制大学の「サイバー大学」では、自学自習では習得が難しい専門知識について体系的・網羅的に学べます。応用情報技術者試験の範囲を超えた応用科目も豊富で、専門知識がある教員の指導のもとで実践的に学習できるため、より上位の高度試験をめざした学習にも向いています。応用情報技術者試験の受験に関してお悩みの方は、この機会にぜひサイバー大学を検討してみてください。