2024.12.05

情報セキュリティマネジメント試験とは?試験内容や難易度を解説

「情報セキュリティマネジメント試験」は、企業や組織の情報を守るために必要な知識・スキルが問われる国家資格です。サイバー攻撃が急増していることから、あらゆる企業・組織で情報セキュリティの重要性が高まっており、情報セキュリティマネジメント試験が注目を集めています。本記事では、情報セキュリティマネジメント試験を受験するメリットや難易度について解説します。

情報セキュリティマネジメント試験とは

情報セキュリティマネジメント試験」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格です。組織の情報をサイバー攻撃のような脅威から守り、セキュリティ確保に貢献するための知識・スキルを認定することが目的です。まずは情報セキュリティマネジメント試験について、次のポイントから見ていきましょう。

  • サイバー攻撃の急増で注目度が高まっている
  • 情報を扱うすべての担当者にお勧めの資格
  • CBT方式で随時受験することができる

サイバー攻撃の急増で注目度が高まっている

近年では、IT技術の急速な発展により、あらゆる分野で「デジタル化」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が進んでいます。しかし高度なIT化にともない、悪意ある者のサイバー攻撃によって、企業や組織の資産である情報が漏洩・悪用されるケースが増えているのです。

企業コンプライアンス(法令順守)が重視される昨今では、情報漏洩は企業にとって経済的な資産のみならず、社会や顧客の信頼が失墜してしまう大きな問題であり、抜本的な対策が急務となっています。

サイバー攻撃には技術的な対策が必要ですが、それだけではなく適切な情報管理や従業員の意識向上といった、管理面での対策である「セキュリティマネジメント」も欠かせません。情報セキュリティマネジメント試験は、こうした課題を背景に国家試験「情報処理技術者試験」として創設されました。

情報を扱うすべての担当者にオススメの資格

情報セキュリティマネジメント試験を主催するIPAは、次のような人に受験を推奨しています。

  • 業務で個人情報を取り扱う人
  • 業務部門・管理部門で情報管理を担当する人
  • 外部委託先に対する情報セキュリティ評価・確認を行う人
  • 情報セキュリティ管理の知識・スキルを身に付けたい人
  • ITパスポート試験から、さらにステップアップしたい人

IT資格というと「IT技術者向け」というイメージがありますが、情報セキュリティマネジメント試験は「IT使用者向け」であるといえるでしょう。

CBT方式で随時受験することができる

情報セキュリティマネジメント試験は、基本的なIT知識・スキルが求められる「基本情報技術者試験」と同様に、コンピュータ上で行われるCBT方式で随時受験できます。上位試験の「応用情報技術者試験」のような「年2回しか受けられない」というものではないため、受験しやすい試験だといえるでしょう。なお、何らかの理由でCBT方式で受験できない場合は、春期(4月)と秋期(10月)の年2回行われる「ペーパー方式」で受験できます。

情報セキュリティマネジメント試験を受験するメリット

情報セキュリティマネジメント試験を受験し、合格することで、次のようなメリットが得られると考えられます。

  • 就職や転職で有利になる
  • さらなるスキルアップをめざせる
  • 企業によっては資格手当が出る

就職や転職で有利になる

前述したように、企業・組織の情報資産の保護やコンプライアンス遵守のために、サイバーセキュリティへの関心が高まっています。情報セキュリティマネジメント試験を受験し合格すれば、サイバー攻撃から企業・組織の情報を守るための力を証明でき、推進者としての役割が期待できます。そのため、社内のセキュリティ管理者やシステムエンジニアとして、また外部のセキュリティコンサルタントとして活躍することも可能です。

情報セキュリティマネジメント試験は国家試験なので、合格することでサイバーセキュリティに関する知識・スキルが証明できます。IT系企業はもちろん非IT企業も含めて、さまざまな企業や組織への就職・転職で有利になるでしょう。

さらなるスキルアップがめざせる

情報セキュリティマネジメント試験に合格することで、より高度な「情報処理安全確保支援士」もめざしやすくなります。情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティの専門家として、システムの企画・開発・運用・保守を推進する知識とスキルがあることを証明する資格です。

情報処理安全確保支援士には受験資格がないため、情報セキュリティマネジメント試験に合格しておく必要はありません。しかし、上位試験のベースとなるための知識・スキルを学ぶことができるので、よりスムーズに資格取得がしやすくなります。

企業によっては資格手当が出る

企業によっては、情報セキュリティマネジメント試験に合格することで、資格手当や報奨金の対象になることもあります。多くの企業がセキュリティマネジメントの知識・スキルがある人材を必要としているなか、情報セキュリティマネジメント試験は知名度が高い国家試験なので、取得することで社内での評価が高まります。

つまり、情報セキュリティマネジメント試験にチャレンジすることで、収入増加やキャリアアップにつながる可能性があるということです。

情報セキュリティマネジメント試験の難易度と合格率

情報セキュリティマネジメント試験の難易度と合格率について、次のポイントから見ていきましょう。

  • 資格のレベルは「レベル2」に該当する
  • 合格率は70%前後と非常に高い
  • 合格に必要な勉強時間は約200時間

資格のレベルは「レベル2」に該当する

IPAが提唱する「共通キャリア・スキルフレームワーク」によると、情報セキュリティマネジメント試験の難易度はレベル2となっています。情報処理技術者試験のレベルは、基礎知識が問われるレベル1から高度な専門知識が求められるレベル4まであり、情報セキュリティマネジメント試験はいわば中級レベルです。

ちなみに「基本情報技術者試験」も同じレベル2ですが、基本情報技術者試験はIT技術者向けの試験なので、情報セキュリティマネジメントと対象者が大きく異なります。

合格率は70%前後と非常に高い

IPAの統計資料によると、情報セキュリティマネジメント試験の合格率は70%前後で推移しており、これはほかのIT系国家資格と比べても非常に高い水準といえます。ちなみに以前は50%前後でしたが、CBT方式となった2023年4月以降に合格率が高まったと考えられます。このように情報セキュリティマネジメント試験は合格率が高いので、比較的チャレンジしやすい資格だといえるでしょう。

合格に必要な勉強時間は約200時間

情報セキュリティマネジメント試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的には200時間前後だと考えられています。勉強時間が1日当たり2時間の場合は、3か月ほどで情報セキュリティマネジメント試験の対策ができる計算となります。ただし独学の場合は、重点的に学ぶべき分野が分からなかったり体系的に学びづらかったりするため、学習期間が長くなる可能性があることに注意が必要です。

情報セキュリティマネジメント試験の出題内容・傾向

情報セキュリティマネジメント試験の出題内容・傾向について、次のポイントから解説します。なお、本記事の情報は2024年10月時点のものなので、最新の情報は公式サイトをご確認ください。

  • 試験は「科目A」と「科目B」に分かれている
  • 科目Aでは情報セキュリティの基本力が問われる
  • 科目Bでは情報セキュリティの実践力が問われる

試験は「科目A」と「科目B」に分かれている

情報セキュリティマネジメント試験は「科目A」と「科目B」に分かれており、いずれも試験時間は120分で60問、合格基準点は1000点満点中600点となっています。ただし科目Aは四肢択一式、科目Bは多肢選択式となっており、出題内容も少し異なることに注意が必要です。

科目Aでは情報セキュリティの基本力が問われる

科目Aでは情報セキュリティの基本力が問われます。情報セキュリティの概念をはじめ、情報セキュリティ管理の実践規範や各種対策にくわえて、ネットワーク・システム監査・経営管理等の関連知識も問われます。科目Aの重点分野は次の通りです。

情報セキュリティ全般
  • 機密性・完全性・可用性
  • 脅威
  • 脆弱性
  • サイバー攻撃手法
  • 暗号
  • 認証
情報セキュリティ管理
  • 情報資産
  • リスク
  • ISMS
  • インシデント管理等の各種管理策
  • CSIRT
情報セキュリティ対策
  • マルウェア対策
  • 不正アクセス対策
  • 情報漏洩対策
  • アクセス管理
  • 情報セキュリティ啓発
情報セキュリティ関連法規
  • サイバーセキュリティ基本法
  • 個人情報保護法
  • 不正アクセス禁止法

一方で科目Aの関連分野は次のようになっています。

テクノロジ
  • ネットワーク
  • データベース
  • システム構成要素
マネジメント
  • システム監査
  • サービスマネジメント
  • プロジェクトマネジメント
ストラテジ
  • 経営管理
  • システム戦略
  • システム企画

まずは以上の分野について学ぶことが、情報セキュリティマネジメント試験に合格するために大切です。

科目Bでは情報セキュリティの実践力が問われる

科目Bでは、情報セキュリティ管理の実践力が問われます。身近な事例がベースの出題や、公的なガイドラインや国際・国内標準に基づく内容の出題がメインです。

情報セキュリティマネジメント試験に合格するためのポイント・コツ

情報セキュリティマネジメント試験に合格するために、次のようなポイント・コツを意識しましょう。

  • 出題頻度の高い「重点分野」を重視する
  • 過去問を繰り返し解いて出題傾向をつかむ
  • 試験本番では問題文を丁寧に読み答える
  • 学校や資格試験対策講座を活用して受験に備える

出題頻度の高い「重点分野」を重視する

情報セキュリティマネジメント試験に合格するためには、出題頻度の高い「重点分野」を重点的に学習することが大切です。情報セキュリティマネジメント試験の出題範囲は広いですが、まずは重点分野を固めるのが効率的です。前述したように、「情報セキュリティ全般」「情報セキュリティ管理」「情報セキュリティ対策」「情報セキュリティ関連法規」が重点分野となっています。

過去問を繰り返し解いて出題傾向をつかむ

市販の問題集や公式サイトの過去問等を活用し、過去問を繰り返し解くのもコツです。情報セキュリティマネジメント試験の出題傾向は、基本的には過去に出題されたものと似ていることが多いです。過去問を繰り返し解くことで出題傾向がつかめるため、実際の試験でもスムーズに解きやすくなるでしょう。

試験本番では問題文を丁寧に読み答える

情報セキュリティマネジメント試験は合格率が高いですが、それだけにケアレスミスで不合格になることがあります。試験本番では時間配分に注意しながら、問題文を丁寧に読むことが大切です。事前に過去問を解くときも、最適な時間配分を意識することで、本番でもミスなくスムーズに解きやすくなります。マークシートの塗り間違えを防ぐために、丁寧にチェックすることも意識しましょう。

学校や資格試験対策講座を活用して受験に備える

情報セキュリティマネジメント試験の対策は独学でも可能ですが、IT分野の経験があまりない人にとっては難しいこともあります。大学や資格試験対策講座等に通うことで、周辺知識を含めて体系的・網羅的に学ぶことが可能です。

例えば通信制大学の「サイバー大学」では、情報セキュリティマネジメント試験の合格に活かせる科目が豊富にあるため、実践的なITスキルが身に付くうえに効果的な試験対策ができます。学修サポートがしっかりしており、分からないところを質問できるので、IT分野の初心者の方でも安心して学べます。卒業すれば大卒資格が得られるため、進路が広がる点も大きなメリットです。

情報セキュリティマネジメント試験の合格をめざすならサイバー大学へ!

情報セキュリティマネジメント試験では、企業・組織の情報をサイバー攻撃のような脅威から守るための知識やスキルが問われます。情報セキュリティマネジメント試験に合格することで、就職や転職で有利になるでしょう。ただし、独学では習得が難しい部分があるため、大学やスクールで学ぶ方が安心して試験対策ができます。

通信制大学の「サイバー大学」では、自学自習では習得が難しい知識を体系的に学べます。
資格取得に活かせる科目が豊富で、「資格取得奨励金制度」もあるためモチベーションを維持しながら学ぶことが可能です。また、毎日通学する必要がないため、仕事や家事等で忙しくても勉強時間の調整が容易です。資格を取得するだけでなく、就職・転職支援が充実しているため、キャリアアップにも役立つでしょう。情報セキュリティマネジメント試験の受験に関してお悩みの方は、この機会にぜひサイバー大学を検討してみてください。