近年ではIT人材の不足が深刻化しており、IT関連の資格試験が注目されています。資格にはさまざまな種類がありますが、なかでも「基本情報技術者試験」はITの基本的な知識・スキルが認められる資格のひとつです。本記事では、基本情報技術者試験の概要や難易度・合格率について解説します。
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験は「IT人材の登竜門」とも呼ばれている、基本的なITの知識・スキルを証明できる資格です。基本情報技術者試験について、押さえておきたい次のポイントを順に見ていきましょう。
- 「IT人材の登竜門」と呼ばれる資格試験
- 2023年4月から通年実施へ
- 基本情報技術者試験が注目される背景
「IT人材の登竜門」と呼ばれる資格試験
基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。IT業界で働くにあたって習得すべき、IT分野の基礎知識とスキルが問われます。IPAの定義では、「ITを活用したサービス、製品、システムおよびソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」が対象者です。
2023年4月から通年実施へ
基本情報技術者試験は、これまで上期(4~5月)と下期(10~11月)の指定日時で実施されていましたが、2023年4月から通年試験化されたので随時受験が可能となりました。また、基本情報技術者試験は「CBT(Computer Based Testing)方式」で、全国各地に設けられた会場で受験できます。そのため、自身の都合に合わせて受験できますが、会場ごとに人数制限があるため早めの申し込みが必要な場合があります。
基本情報技術者試験が注目される背景
基本情報技術者試験のようなIT資格は、技術の発展や社会的な背景により注目が高まっています。あらゆる分野でデジタル化が急速に進み、AIのような先進技術も普及し、より多くのIT技術者が必要とされるようになりました。しかし、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によれば、IT人材は将来的に最大79万人の不足が予想される等、人材不足の深刻化が懸念されています。
詳細は後述しますが、基本情報技術者試験は近年合格率の上昇により「受かりやすいIT資格試験」となっています。IT人材の育成という観点からもこの試験は注目されているのです。
基本情報技術者試験の主な特長
基本情報技術者試験には、次のような特長があります。
- 通年期間のCBT方式で実施される
- 「科目A試験」と「科目B試験」の2つの試験がある
通年期間のCBT方式で実施される
基本情報技術者試験は、2023年4月に通年試験化されて随時受験が可能となりました。コンピュータを使用したCBT方式となっており、専用会場のなかから試験会場を自由に選択できます。現在では団体経由での申し込みはできず、インターネット経由での個人申込が必要なので注意が必要です。
なお、何らかの理由でCBT受験ができず筆記試験を希望する場合は、春期(4月)と秋期(10月)に実施される特別措置試験で受験することができます。
「科目A試験」と「科目B試験」の2つの試験がある
基本情報技術者試験には、「科目A試験」と「科目B試験」の2つの試験があります。それぞれ1,000点満点で、そのうち2つの試験ともに600点以上を獲得すれば合格です。なお、科目A試験は90分で四肢択一の60問、科目B試験は100分で多肢択一の20問となっています。ただし、上記は2024年9月時点の情報なので、最新の内容については公式サイトをご確認ください。
基本情報技術者試験の魅力・取得メリット
基本情報技術者試験の魅力や、この資格を取得することで得られるメリットとして、次のようなものが挙げられます。
- IT技術者としての基本知識が身に付く
- IT関連職への就職・転職に有利になる
- IT系国家資格のなかでは合格率が高い
- 企業から手当が支給される場合がある
IT技術者としての基本知識が身に付く
基本情報技術者試験の資格を取得することで、IT分野・情報処理分野で活躍するために必要な基本知識が身に付きます。例えば、上位職の指導のもとにIT戦略やシステムの企画・要件定義を行ったり、情報セキュリティを意識したシステムの設計・開発・運用ができるようになったりする等です。
なお、代表的なIT資格として「ITパスポート試験」も有名ですが、基本情報技術者試験はより上位の資格となります。ITパスポート試験で問われるのが主に「座学」での基本知識なのに対し、基本情報技術者試験は技術者としての実務にも対応できるような知識が範囲に含まれます。
IT関連職への就職・転職に有利になる
前述したように、IT人材の不足が近年深刻化しているため、企業はそれだけITの知識がある人材を必要としています。基本情報技術者試験に合格することで、IT技術者として一定の知識・スキルがあることが証明できるため、就職・転職時のアピールになります。また、社内に有資格者がいることは事業戦略や経営面での利点につながるため、企業としては有資格者を積極的に採用したいのです。
IT系国家資格のなかでは合格率が高い
詳細は後述しますが、基本情報技術者試験の合格率は40%前後となっており、IT系の国家資格のなかでは合格率が比較的高いといえます。より上位の資格となる応用情報技術者試験の合格率が20%前後であることを考えると、学習や受験のハードルは低いと考えられるでしょう。適切に学習すれば取得しやすく、なおかつ就職・転職時に評価されやすいので、費用対効果が高い資格だといえます。
企業から手当が支給される場合がある
基本情報技術者試験を取得することで、「資格手当」として報奨金の支給が受けられる企業もあります。学習時の強いモチベーションとなるため、あらかじめ資格手当の制度があるかどうかについて、勤務先に確認しておくのもお勧めです。
基本情報技術者試験の難易度と合格率
基本情報技術者試験の難易度と合格率について、次のポイントから見ていきましょう。
- 資格のレベルは「レベル2」に該当する
- 合格率は40%前後となっている
- 未経験者にとっては難易度が高め
資格のレベルは「レベル2」に該当する
IPAが提唱する「共通キャリア・スキルフレームワーク」によると、基本情報技術者試験の難易度は、「ITパスポート試験」と「応用情報技術者試験」の中間に位置するレベル2となっています。
レベル(難易度) | 資格 | 主な対象者 |
---|---|---|
レベル1 | ITパスポート試験 | すべての社会人 |
情報セキュリティマネジメント試験 | ITの安全な活用を推進する職種 |
|
レベル2 | 基本情報技術者試験 | 情報処理技術者(エンジニア等) |
レベル3 | 応用情報技術者試験 |
|
レベル4 | 各種高度資格試験 |
従って、ITパスポート試験を取得した後で基本情報技術者試験にチャレンジし、さらに上をめざすのであれば応用情報技術者試験も取得するという流れがお勧めです。
合格率は40%前後となっている
基本情報技術者試験の合格率は、IPAの「情報処理技術者試験 統計資料」によると、おおむね40~50%前後となっています。以前は20~30%程度の合格率でしたが、CBT方式へ移行してから合格率が向上したため、比較的チャレンジしやすいIT資格となりました。
未経験者にとっては難易度が高め
IT系の知識やスキルを学んだ人にとっては、基本情報技術者試験の内容はそれほど難しいものではありません。しかし、未経験者の場合はすべてをゼロから学ぶ必要があるため、ハードルが高く感じられる可能性があります。
なお、基本情報技術者試験の資格を取得するためには、少なくとも200時間の学習が必要だといわれています。まずITパスポート試験を取得してから、基本情報技術者試験にチャレンジするとスムーズに進めやすいでしょう。学習に不安がある場合は、学校で学ぶといった選択肢も効果的です。
基本情報技術者試験の出題内容
基本情報技術者試験の出題内容は、おおむね次のようになっています。なお、本記事の情報は2024年9月現在のものなので、受験の検討時は必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。
- 科目A試験
- 科目B試験
科目A試験
科目A試験の内容は、「テクノロジ系」「マネジメント系」「ストラテジ系」の3つの分野から構成されており、出題範囲はそれぞれ次の通りです。
分野 |
出題範囲 |
---|---|
テクノロジ系 |
|
マネジメント系 |
|
ストラテジ系 |
|
科目B試験
科目B試験の出題内容は、次のような出題範囲となっています。
- アルゴリズムとプログラミング
- 情報セキュリティ
アルゴリズムとプログラミングの分野は、「プログラムの基本要素」「データ構造とアルゴリズム」「プログラミングの諸分野への適用」という3つのカテゴリーから構成されています。
基本情報技術者試験の学習方法
基本情報技術者試験は、次のような方法で学習することができます。
- 独学で学ぶ
- 学校で学ぶ
独学で学ぶ
IT分野の学習経験がある人は、書籍やオンライン講座等を活用して独学することで、必要な知識を身に付けることができます。独学する際は、まず科目A試験の内容をしっかり理解して基礎知識を身につけてから、科目B試験の対策を行うことが重要です。
科目B試験では「アルゴリズム」の比重が特に高いため、バブルソートやクイックソート等のアルゴリズムや、配列やリスト等のデータ構造をマスターしておく必要があります。IPAの公式サイトには「サンプル問題」も公開されているため、これを活用することで大まかな出題傾向が分かります。しかし、独学でこれらについて理解するのは難しい場合があるため、大学で学ぶ方が効率よく習得しやすいでしょう。
学校で学ぶ
独学のハードルが高い場合は、専門学校や大学等で学ぶのが効果的です。IT系の大学や学科では、IT業界で必要とされる専門知識について周辺知識も含めて体系的に学べるため、基本情報技術者試験の範囲に含まれる知識・スキルも習得できます。
通信制大学の「サイバー大学」では、基本情報技術者試験の取得に活かせる科目が豊富にあるため、実務に役立つ知識・スキルを習得しながら試験対策も行いやすいことが魅力です。さらに、同じ資格をめざす人とコミュニティで情報交換しながら学習を進めることもできるので、安心して学ぶことができるでしょう。
サイバー大学は毎日通学する必要がないため、働きながらでも自分のペースで学べます。独自の資格取得奨励金制度を設けている通信制大学を選べば、受験の金銭的な負担も軽減するはずです。
基本情報技術者試験の取得をめざすならサイバー大学へ!
基本情報技術者試験を取得することで、IT業界で活躍するために必要な基本知識を習得し、その実力を示すことができます。IT国家資格のなかでは難易度は低めではあるものの、アルゴリズムやデータ構造等、高度な分野に関する知識も問われるため、独学のハードルが高いかもしれません。
通信制大学の「サイバー大学」では、自学自習では習得が難しい知識を体系的に学べます。
資格取得に活かせる科目が豊富で、「資格取得奨励金制度」もあるため効果的に学ぶことが可能です。さらに「基本情報技術者試験」に限らず、幅広い知識が身に付けられることも魅力といえます。努力次第では、上位資格やその他の資格の同時取得はもちろん、ITエンジニアとして活躍することも夢ではありません。
また、卒業に必要な単位を修得すれば、大卒資格(学士号)が取得できるのも大きなメリットです。学修支援はもちろん、進路選択や卒業後のキャリア形成のサポート等も充実しており、就職・転職の幅が広がるでしょう。
基本情報技術者試験の取得をお考えの方は、この機会にぜひサイバー大学を検討してみてください。