近年では、50代の社会人の学び直しが注目されています。ただ定年を待つのではなく、知識・スキルを時代に応じてアップデートしたり、新たな分野にチャレンジしたりすることで、キャリアアップや転職への道が開けるのです。
しかし50代から学び直しというと、「今さら遅いのでは?」「きちんと学べるか心配」といった不安があるかもしれません。そこで本記事では、50代の社会人に学び直しがお勧めな理由や、その方法について詳しく解説します。
50代の社会人が「学び直し」に最適な理由
「学び直し」とは、社会人になってから新たな知識・スキルを身に付けるために学習することを指します。高齢社会の到来や定年延長、デジタル技術の進展による職場環境の急速な変化を背景に、50歳を超えた管理職やキャリアの長い社員の学び直しが注目されています。50代の社会人が学び直しに最適な理由として、次のようなものが挙げられます。
- 自身の課題がはっきりと見えやすい
- 定年を見据えたプランが練りやすい
- これまでの経験を活かして学びやすい
自身の課題がはっきりと見えやすい
50代になると、これまでのキャリアのなかで何が課題で、その改善のために何を学ぶべきかが見えやすくなります。人生経験を積んでいるため、若いときより自身の得手・不得手や、関心の深い分野についても理解できているでしょう。そのため、本当に学び直したいことを見極めて、有意義に学んで知識・スキルを身に付けやすいのです。
定年を見据えたプランが練りやすい
50代になると現職におけるキャリアパスの見通しが付き、同時に「定年」についても気になるころです。定年後の選択肢としては、「新しい分野にチャレンジ」「再雇用を選択」等さまざまですが、いずれの場合も時間を充実させるためには早めの準備が必要となります。50代のうちに定年に備えて学び直しを行うことで、定年後の人生設計も行いやすくなるでしょう。
これまでの経験を活かして学びやすい
50代の社会人は、これまでの人生経験や知識を活かし、豊かな学び直しがしやすいこともポイントです。年齢を重ねると、若い人と比べて頭の回転の速さのような「流動性知能」は低下する傾向があります。一方で、これまでに獲得した知識・経験を活かす能力である「結晶性知能」は優れているため、新しい知識も身に付きやすいのです。
例えばプログラミングの技術を学んだとき、それが社会や業務に与える影響を考えてシステム設計やエラーチェックができれば、実践力のあるITエンジニアになることができるでしょう。
50代の社会人が「学び直し」を行うメリット
50代の社会人が「学び直し」を行うことで、次のようなメリットが得られると考えられます。
- セカンドライフの起点となる
- 新しい人脈を形成しやすくなる
- キャリアアップの可能性が広がる
セカンドライフの起点となる
一般的に50代という年齢は、仕事や家庭がある程度落ち着きを見せ始めるため、自分自身を見つめ直す機会となります。この時期に新しい分野に挑戦したり、知識やスキルを深めたりすることで、いわゆる「セカンドライフ」へのスタートダッシュを切ることができ、今後の人生の楽しみにつながるでしょう。
新しい人脈を形成しやすくなる
学び直しのために大学やスクール等に通うことで、これまでに関わりがなかった職種・分野の人との交流の機会が生まれ、新たな人脈形成につながることがあります。例えば、これまでIT分野の経験が全くなかった人が、IT系の大学やスクール等に通うことで、IT分野に携わる人との人脈ができることになるかもしれません。
同じ志を持つ新たな仲間との人脈が、定年後の自身と社会との関わり方を見直し、定年後の新たなビジネスや再雇用等につながることもあるでしょう。
キャリアアップの可能性が広がる
学び直しにより新たな知識・スキルを身に付けることで、転職してキャリアアップを目指しやすくなります。現職でそのまま働いていてはキャリアアップが難しい場合でも、例えばプログラミング言語のVBAを学ぶことで、Excelの自動化のような新たなスキルが身に付いてキャリアアップが図れるかもしれません。
50代社会人の「学び直し」にお勧めなスキル・分野

50代社会人の「学び直し」にお勧めなスキル・分野として、次のようなものが挙げられます。
- ITスキル
- プログラミングスキル
- コミュニケーションスキル
- 起業・経営のスキル
- 外国語のスキル
ITスキル
近年ではあらゆる分野でIT化が進んでいるため、ITスキルやITリテラシーを磨くことで、現職での業務や転職に役立つでしょう。例えば、MicrosoftのExcel・Word・PowerPointのようなオフィスソフトは、一般業務でも広く活用されています。
またテレワークの普及により、Zoomのようなオンライン会議システムや、Googleドキュメントやスプレッドシードのようなクラウドサービス等の重要性も高まっています。そのため、ITスキルを身に付けることで、キャリアアップが期待できるかもしれません。
プログラミングスキル
IT人材不足が深刻化しており、さまざまな企業がIT人材を必要としているため、プログラミングは転職やキャリアアップに効果的なスキルです。50代でプログラミングは難しいという印象があるかもしれませんが、基礎から丁寧に学ぶことで新たな活躍の幅が広がるでしょう。例えば、PHPやJavaScript等を学ぶことで、Webサイトの制作ができるようになり、Webエンジニアとして活躍する道が見えてきます。
コミュニケーションスキル
業務をこなすうえで、周囲の人とコミュニケーションを取る能力は極めて重要です。コミュニケーションスキルを磨くことで、若手社員の指導やクライアントとの交渉等の場面で役立つでしょう。また、転職後は年下の人が上司になることもあるため、多様な場面に対応できる柔軟なコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーションスキルと併せて、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングも身に付けることで、管理職としても活躍しやすくなるはずです。
起業・経営のスキル
定年後は再就職や再雇用ではなく、自ら起業・経営したり、フリーランスや個人事業主として活動したりするという選択肢もあります。社会や環境の変動が著しい現代では、起業・経営のスキルやビジネススキルを磨くことが重要です。例えば起業するためには、事業計画の策定やマーケティングのスキルにくわえて、組織・従業員の管理能力も欠かせません。
外国語のスキル
50代の社会人には、外国語のスキルを身に付けるのもお勧めです。近年では日本でも国際化が進み、私生活やビジネス等さまざまな場面で、外国人と接する機会が増えています。ビジネス目的はもちろん、生涯学習やセカンドライフのために、例えば英語や中国語等を学ぶことで人生がより豊かになるかもしれません。
50代社会人の「学び直し」にお勧めな資格
50代社会人の「学び直し」には、次のような資格がお勧めです。
- 簿記
- ITパスポート試験
- 基本情報技術者試験
簿記
簿記資格の取得で身に付けた知識・スキルは、金融や経理等の分野で活かせるため、50代の社会人のキャリアアップに向いている資格です。また前述したように、定年後に起業・経営する人も珍しくないため、50代のうちから知識を身に付けて準備した置くことで、企業したり個人事業主として活動したりする場合にも役立つでしょう。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、IT分野の基礎知識が問われる資格試験です。学習することでIT分野に関する知識・スキルを深める足掛かりになるため、50代の社会人の学び直しに最適な資格試験だといえます。前述したように、さまざまな企業がIT人材を求めているため、早めに学んでおくことで将来の再雇用やキャリアアップに役立つでしょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITエンジニアとして必要な専門知識が求められる資格試験で、「IT人材の登竜門」とも呼ばれています。実務に役立つ知識・スキルが身に付き、現職において「ITスキルのある人材」としてのキャリアアップはもちろん、ITエンジニアとして転職・再就職できるきっかけになることもあるため、50代の社会人の学び直しに適しています。
英検・TOEIC・TOEFL
「英検(実用英語技能検定)」「TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)」「TOEFL(トーフル)」は、いずれも実用的な英語の知識や英語でのコミュニケーション能力が問われる資格試験です。
英語の読み書きができるようになれば、海外の書籍が理解できるため、各分野の専門知識がより深まりやすくなります。専門的な分野では、最先端の情報はまず英語で提供されることが多いため、英語ができることは大きなアドバンテージとなるでしょう。
また、英語で自由にコミュニケーションが取れるようになれば、ビジネス・プライベート問わず外国人と交流できるようになるため、これまでにない経験ができる可能性も高まります。
ネットショップ検定
ネットショップ検定は、Eコマース業界での実務能力やスキルを証明するための資格試験です。取得することでネットショップ業界で必須の知識・スキルが身に付き、「ネットショップ実務士」になることができます。定年後も続けられる副業や起業の選択肢として、ネットショップは柔軟かつ初期費用を抑えられることから低リスクで始めやすいため、50代の社会人の学び直しに適しています。
50代の社会人が「学び直し」を行う方法

50代の社会人が「学び直し」を行う方法として、次のようなものがあります。それぞれの特長とメリット・デメリットについて見ていきましょう。
- 参考書やテキスト
- 通信講座やアプリ
- 大学やスクール
参考書やテキスト
自身に合う参考書やテキストを選ぶことで、学び直しに必要な知識を自分のペースで学ぶことができます。ただし、不明点や疑問点が生じたときの相談相手がいないため、挫折してしまう可能性があることに注意が必要です。
通信講座やアプリ
通信講座やアプリは、スキマ時間を活用しながらいつでもどこでも学習できるため、学び直しを気軽に始めやすいことが魅力です。ただし通信講座は費用が掛かるうえに、アプリでは体系的な知識が身に付きづらい傾向があります。
大学やスクール
50代の社会人の学び直しは独学でも行えますが、学び直す分野や資格によっては、独学では難しいことも珍しくありません。そこで大学やスクール等を活用することで、周辺知識も含めて必要なことを体系的に学べるのでお勧めです。
通信制大学の「サイバー大学」では、学び直しや資格の取得に活かせる科目が豊富にあります。さらに、学生や教職員が参加する公式コミュニティがあるため、同年代はもちろん異なる世代の学友との交流の機会が得られて人脈が深まることも魅力です。
50代の社会人の「学び直し」にはサイバー大学がお勧め!
50代の社会人は、自身の課題が明確化していることや、これまでの経験を活かしやすいことから、学び直しに向いています。しかし、独学で新たなことを学ぶのは難しいことがあるので、大学やスクールがお勧めです。特に、通学なしのオンラインで学べる通信制大学は、仕事と家庭における時間的・金銭的負担が多い50代という年代だからこそ向いています。
通信制大学の「サイバー大学」では、自学自習では習得が難しい知識について体系的に学べます。さらに、充実したサポート体制で不明点・疑問点を解消しやすいため、50代からの社会人の学び直しに最適です。学び直しに関してお悩みの方は、この機会にぜひサイバー大学を検討してみてください。