大学を中退するという選択は、決して簡単な決断ではありません。大きな不安や迷いをともなうことも少なくないでしょう。しかし、そこから新たな道を見つけ、充実した人生や成功を収める人も数多く存在します。
大切なのは、中退という事実を単なる「挫折」として捉えるのではなく、自身の成長と未来のための「新たな出発点」と捉えることです。この記事では、大学中退の背景にある多様な理由から、その後の具体的な選択肢、そして後悔しないための実践的なアドバイスまで、幅広く解説します。
あなたの「大学中退、その後」をより良いものにするためのヒントを、具体的な情報とともに見つけてください。
大学中退の現状と主な理由。なぜ、その決断に至るのか
文部科学省による「令和5年度学生の中途退学者・休学者数の調査結果」によると、年間53,470人もの大学生が中退しており、その数は決して少なくありません。中退の理由は一人ひとり異なりますが、大きく分類すると以下のようになります。自身の状況と照らし合わせながら、共通点や異なる点を把握することで、今後の道筋をより明確にできるかもしれません。
経済的理由
最も多い中退理由の一つは、学費や生活費の負担が大きく、学業継続が困難になるケースです。家庭の経済状況の変化、アルバイトだけでは学費や生活費を賄いきれない、あるいは奨学金の返済への不安等が挙げられます。学業とアルバイトの両立が困難になり、心身のバランスを崩してしまうこともあります。経済的な問題は、学業への集中力を奪い、精神的な負担を増大させるため、中退を決断せざるを得ない大きな要因となりえます。
進路変更
入学後に大学で学ぶ内容や学部・学科が自分の興味や将来の目標と合わないと感じるケースです。高校時代に明確な目標がなかったり、受験勉強に追われて深く考える時間がなかったりした結果、「こんなはずではなかった」「思っていた学習と違う」と感じてしまうことがあります。例えば、在学中に別の分野に強い関心を持つようになったり、より実践的なスキルを身に付けて早く社会に出たいと考えるようになったりするパターンです。これは、大学選びのミスマッチが原因で、より自分に合った道を探すための前向きな中退ともいえます。
学業不振
単位修得が難しい、授業についていけない、それにともなう学習意欲の低下等が原因で中退に至るケースです。高校までの受動的な学習スタイルから大学の主体的な学習への切り替えがうまくいかない、専門分野の難易度が高すぎる、あるいは講義へのモチベーションが続かないといった問題が挙げられます。特に、高校までは得意だった科目でも、大学での専門的な学習になるとつまずく学生も少なくありません。成績不低迷が続き、自信を失って中退を選ぶケースも見られます。
学生生活への不適応・学習意欲の低下
大学の人間関係に馴染めない、友人関係の構築に悩む、サークル活動で孤立感を感じるといった精神的なストレスから大学に通い続けることが困難になることがあります。また、明確な目標を見失い、大学に通う意味を感じられなくなり、学習へのモチベーションが著しく低下してしまうことも中退の大きな理由となり得ます。一人暮らしで孤独を感じたり、大学の規模や雰囲気に圧倒されたりすることも、不適応の原因となる場合があります。
就業・起業
在学中に、自分の本当にやりたい仕事やビジネスのアイデアが見つかり、早く社会に出て実践的な経験を積むために中退を選ぶケースです。特定の分野での才能を開花させたい、あるいは具体的な事業計画がまとまり、早期の実現をめざす場合にこの選択をします。このようなケースでは、大学で得られる知識よりも、実際の現場での経験や人脈形成を優先する判断がなされます。
メンタルの問題・病気やケガ
うつ病等の精神疾患、身体的な病気やケガ等により、長期的に学業を続けることが困難になるケースです。この場合、心身の回復を最優先し、休学を経て、やむを得ず中退という選択をせざるを得ないことがあります。健康を損ねては、学業はもちろんのこと、その後の人生にも影響を及ぼすため、慎重な決断が必要となります。
海外留学
大学を休学または退学し、海外で語学力や専門分野を磨くことを選択するケースです。これは前向きな中退理由の一つであり、よりグローバルな視点や専門性を身に付けるための自己投資と捉えられます。海外での学びが、その後のキャリアに大きく貢献することもあります。
これらの理由から大学を中退することは、決して珍しいことではありません。重要なのは、中退という事実を乗り越え、その後のキャリアや人生をどう構築していくか、そして「なぜ中退したのか」を自身の言葉で、前向きに説明できるようにしておくことです。
あなたの未来を拓く、大学中退後の多様な選択肢

大学中退後には、多種多様な進路が考えられます。自身の状況や目標、そして将来の展望に合わせて、最適な選択肢を見つけることが、後悔しないための第一歩です。再進学・就職等、代表的な選択肢を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
別の大学への編入・再入学
他大学での学び直しを通じて、あらためて大卒資格の取得をめざすことができます。これは多くの企業で求められる学歴要件を満たすうえで有利に働きます。特に、前の大学で「学ぶ内容が合わなかった」という理由で中退した人にとっては、より自分に合った学部や学科を選び直し、専門性を深める絶好の機会です。大学での単位の一部が認定される編入制度を利用すれば、学習期間を短縮できる可能性もあります。しかしその一方で選考基準や受け入れ人数に限りがあるため、事前の情報収集と準備が不可欠ですし、再度の学費負担や学習期間が発生する点も考慮が必要です。
また、通学が負担となって大学を退学した方には、通信制大学という選択肢もあります。通学が不要になるため、時間を有効に使うことができ、身体的・精神的な負担を軽減しながら学ぶことができます。
大卒資格の取得については、こちらの記事も参考にしてください。
専門学校への進学
特定の職業に直結する実践的なスキルや知識を集中的に学ぶことができます。例えば、IT(プログラミング、ネットワーク)、医療(看護師、理学療法士)、福祉(介護福祉士)、デザイン、料理、美容等、多岐にわたる専門分野があります。専門学校のカリキュラムは資格取得に特化していることが多く、卒業と同時に即戦力として活躍できる可能性が高まります。また、多くの専門学校は業界との連携が強く、卒業後の就職サポートが手厚いのも特徴です。企業とのネットワークを通じて、求人紹介やインターンシップの機会を得られることもあります。学費は大学より安い傾向にありますが、それでも百万円単位の費用が掛かるため、自身の興味と将来のキャリアパスを明確にしたうえで慎重な検討が必要です。安易な気持ちで入学すると、後悔につながる可能性も否定できません。
正社員としての就職
大学を中退した後、すぐに社会に出て正社員として働くことは、経済的自立を早め、実務経験を積むうえで非常に有効な選択肢です。大学に通い続けるよりも早く社会に出て、仕事の経験を積むことで、キャリア形成を早期にスタートできます。安定した収入を得られるため、経済的な不安を解消できますし、自身の成長を実感しやすいでしょう。学歴よりも個人の能力や意欲、ポテンシャルを重視する企業、特に成長途上のベンチャー企業や中小企業、あるいはIT系の企業等では、大学中退者でも積極的に採用する傾向があります。NPO法人等も多様な人材を求めており、学歴を問わない求人も多く存在します。中退という経験を「早く社会に出て活躍したいという強い意欲の表れ」としてポジティブに評価してくれる企業も少なくありません。
ただし、最も大きな注意点は「学歴の壁」です。大卒が応募条件となっている求人には応募できないため、選択肢が限定される場合があります。しかし、これは「大卒のみ」の企業に固執しなければ回避できます。面接対策としては、中退理由について、ネガティブな印象を与えずに説明できるよう、自己分析と明確な言語化が求められます。「大学で何が合わなかったのか」「中退から何を学び、今後どうしたいのか」を具体的に語れるように準備しましょう。その際、大学での経験を「無駄ではなかった」と前向きに捉え、その経験が次のステップにどう活かされるかを語ることが重要です。就職活動の進め方としては、ハローワークや人材紹介エージェント、厚生労働省の就職支援等を活用し、自身の強みや興味を明確にし、それに合った業種や職種を絞り込んで効率的に活動しましょう。
公務員試験の受験
公務員は、安定した雇用と福利厚生が魅力の職種です。学歴不問の試験も多く、大学中退者にとって有力な選択肢となります。
公務員試験は多くの場合、年齢制限内であれば、最終学歴に関わらず誰でも受験できます。これにより、大学を中退したとしても、学歴がハンディキャップになることなく、能力次第で安定した職に就くことが可能です。景気に左右されにくく、安定した収入と雇用が見込める点も大きな魅力です。公務員試験対策に特化した専門学校や予備校もあり、集中的に学習することで合格への近道となります。
留意すべき点として、公務員試験は専門的な知識や論理的思考力が問われ、決して容易ではありません。国家公務員、地方公務員、市役所職員等、職種によって試験内容や難易度が異なるため、自身のめざす職種に合わせた長期間の計画的な学習が必要です。また、試験によっては年齢制限が設けられていることがあるため、事前に確認し、受験可能な期間内に挑戦することが重要です。
フリーター・フリーランス
自分のペースで働きたい、特定の夢を追いかけたいといった場合、フリーターやフリーランスという働き方も選択肢に入ります。
フリーターは、自由にシフトを組むことができるため、プライベートの時間を確保しやすく、趣味や別の活動に時間を充てられます。一時的に生活費を稼ぎながら、今後の進路をじっくり考える期間とすることも可能です。さまざまなアルバイト経験を通じて、社会経験を積んだり、自分の得意なことや苦手なことを見つけたりする機会にもなります。しかし、収入が不安定になりがちで、社会保険や福利厚生が不十分な場合があります。また、長期的に見ると正社員に比べてキャリアアップの機会が限定される可能性があり、将来的な生活設計が難しくなるリスクも考慮が必要です。
フリーランスは、自分のスキルや専門性を活かして、時間や場所に捉われずに働くことができる働き方です。実力次第で高収入を得られる可能性もあり、学歴に関係なく、成果や能力が直接評価される点が大きな魅力です。ウェブデザイナー、プログラマー、ライター、コンサルタント等、IT技術の発展とともに多様な職種でフリーランスとして活躍する人が増えています。しかし、営業力、自己管理能力、経理知識等、多岐にわたるスキルが求められ、安定した収入を得るまでには時間が掛かることもあります。自身のスキルを磨き続け、顧客を獲得するための努力が不可欠です。
起業
大学中退を機に、自らのビジネスを立ち上げる「起業」を選ぶ人もいます。学歴や既存の枠に捉われず、自分のアイデアや情熱を形にすることができます。成功すれば、大きな収入や社会的な影響力を得られる可能性を秘めています。大学在学中にすでに事業の構想があり、その実現のために中退を選択するケースも少なくありません。世界的な起業家のなかには、大学中退後に大成功を収めた人物も多く、彼らの例は、学歴よりも情熱と実行力が重要であることを示しています。
ビジネスを成功させるためには、マーケティング能力、管理スキル、営業力、人脈、そして強い発想力や実行力等、多岐にわたる能力が求められます。誰もが成功するわけではなく、失敗のリスクも伴うため、入念な計画と覚悟が必要です。資金調達、事業計画の策定、法務・税務に関する知識等も、起業家として学ぶべき重要な側面です。サイバー大学等一部の通信制大学では、起業の知識を集中的に学ぶことができます。
資格取得
特定の資格を取得することは、特定の職種への就職を有利に進めたり、専門性を高めて市場価値を上げたりするうえで非常に有効です。
やりたいことが明確な場合、その仕事で役立つ資格を身に付けることで、希望する業種への就職がしやすくなります。資格は客観的なスキル証明となり、就職活動での強力なアピールポイントになります。特に、未経験分野への挑戦やキャリアチェンジを考えている場合、資格取得は基礎知識と意欲を示すうえで大きな助けとなります。 IT分野ではITパスポートや基本情報技術者、事務職では簿記、医療・福祉分野では医療事務や介護福祉士、法律関連では宅建士等、多岐にわたる資格が存在します。
ただし、資格取得自体が目的にならないよう、その資格が将来のキャリアにどう結びつくのかを明確にすることが重要です。資格によっては、実務経験が受験要件となるものや、取得後も定期的な更新が必要なものもあります。闇雲に資格を取るのではなく、自身のキャリアプランに沿った戦略的な資格選びが求められます。
大学中退後に後悔しないために、成功へ具体的なステップを
大学中退後の人生を後悔しないためには、以下の点を意識し、具体的な行動に移すことが重要です。
ブランク期間をなるべく作らない
中退後の空白期間が長くなると、就職活動等で「何をしていたのか」「意欲がないのでは」といったネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。中退を決断したら、精神的に落ち着き次第、すぐに次の行動に移ることが大切です。仕事でも学校でも、社会との接点を持ち、活動している姿勢を示すことが重要です。この期間を「自分と向き合うための大切な時間」として、具体的なスキル習得や自己啓発に充てるのも良いでしょう。
具体的な目標を設定する
「何のために中退したのか」「これから何をしたいのか」「将来どうなりたいのか」を明確にすることが、次のステップに進む原動力となります。漠然としたままでは、行動が定まらず、再び立ち止まってしまう可能性が高いです。短期的な目標(例:〇か月以内に資格取得、〇か月以内に希望の職種に就職)と長期的な目標(例:将来就きたい職業、身に付けたいスキル、理想のライフスタイル)の両方を設定し、紙に書き出して可視化することも効果的です。
徹底的な情報収集を怠らない
興味のある分野や職業について、積極的に情報を集めましょう。インターネットでの検索はもちろんのこと、書籍や業界誌を読む、企業説明会や業界セミナーに参加する、実際にその分野で働いている人の話を聞く(OB/OG訪問、知人の紹介等)、あるいはインターンシップに参加する等、多角的な情報収集が重要です。生の声を聞くことで、想像と現実のギャップを埋め、より現実的な目標設定が可能になります。公的機関でも、若者雇用促進総合サイトでの情報提供を行っています。
スキル・資格の取得をめざす
なりたい職業やめざすキャリアに必要なスキルや資格があれば、集中的に学習して取得をめざしましょう。これは、就職活動において大きな武器となります。特に専門職をめざす場合は、資格が必須となることもあります。オンライン大学、専門学校、職業訓練校、あるいは独学等、自分に合った学習方法を見つけ、継続することが大切です。資格取得は、単に知識があるだけでなく、目標に向かって努力できる能力の証明にもなります。
挫折経験を自分の糧にする
大学中退は、決して「失敗」ではありません。この経験から何を学び、どう成長していくかが重要です。面接等で中退理由を尋ねられた際には、悲観的に語るのではなく、「大学で学んだことと、自分の本当にやりたいことのギャップに気づき、より具体的な目標を見つけることができた」「一度立ち止まったことで、自己分析を深め、今後のキャリアを真剣に考える貴重な機会になった」等、前向きな形で説明できるよう準備しておきましょう。過去の経験を肯定的に捉え、未来への糧とすることで、自信を持って次のステップに進むことができます。
長期的な視点でキャリアを考える
目先の目標達成だけでなく、5年後、10年後の自分を想像し、そこから逆算して現在の選択肢を検討することも大切です。例えば、「この職種は将来性があるか」「このスキルは普遍的に役立つか」「ワークライフバランスはどうか」といった視点を持つことで、後悔の少ない選択ができるようになります。キャリアプランは一度決めたら変えられないものではなく、柔軟に見直しを行うことも重要です。
専門家のサポートを活用する
進路に悩んだり、就職活動がうまくいかず心身が疲弊したりした場合は、一人で抱え込まず、専門家のサポートを借りることを検討しましょう。厚生労働省が運営するハローワークのキャリア相談や、若者向け支援サービスである地域若者サポートステーション(サポステ)、民間の就職支援エージェント、キャリアカウンセリング、あるいは大学中退者向けの支援NPO団体等が、具体的なアドバイスや情報提供、心のケアをしてくれます。特に、精神的に追い詰められている場合は、無理をせず、信頼できる人に相談することが最優先です。
あらゆる選択肢のために:オンライン大学で学び直すという選択肢

ここまでさまざまな選択肢を紹介してきましたが、新たな一歩を踏み出すために、「安心できる環境で自信を付ける」というのも有効な手段です。大学中退を経験された方、あるいは働きながら学び直しを考えている方に、オンライン大学という選択肢があります。時間や場所に捉われずに学べるオンライン大学は、多様なライフスタイルに対応し、新たな学習機会を提供します。そのなかでも、特に充実した学習環境を提供するサイバー大学は、多くの卒業生を輩出しています。
自分のペースで大卒資格がめざせる
オンライン大学の最大のメリットは、通学が不要なため、仕事やアルバイト等と両立したり、体調と相談したりしながら自分のペースで学習を進められる点です。通学制の大学でうまくいかなかった方にも、無理なく大卒資格の取得をめざせる環境が整っています。サイバー大学もこの特長を持ち、多くの社会人がキャリアを中断することなく、学歴の向上を図っています。
場所を選ばない学習スタイル
パソコンやスマートフォンがあれば、インターネット環境がある場所ならどこでも学習が可能です。自宅や外出先、地方や海外からでも日本の大学教育を受けることができます。サイバー大学では、この柔軟な学習スタイルにより、全国各地、そして世界中の学生が学んでいます。
充実したオンライン学習環境
多くのオンライン大学では、独自のeラーニングプラットフォームや体系的なカリキュラムが用意され、質の高い教育を提供しています。サイバー大学も独自のeラーニングシステムを活用しオンラインならではの工夫された学習コンテンツを提供。質問対応や学習サポートも充実しており、オンライン学習が初めての方でも安心して学べるよう配慮されています。
通信制大学のサイバー大学では、以上のように起業や就職に役立つITとビジネス分野の知識をフルオンラインで専門的に学ぶことができるので、次のステップに自信を持って進むことができます。中退後の進路がまだ決まっていない、という方は、この機会にぜひサイバー大学を検討してみてください。