大学を途中で辞めることは人生の重要な転機の一つです。経済的理由、学業不振、進路変更等、さまざまな理由で大学中退を選択する学生は決して少なくありません。
この記事では、全国の大学における中途退学の現状から、中退後の前向きな人生設計のための情報を包括的にお伝えします。
全国の大学中退者の状況
文部科学省による令和5年度の調査によると、全国の国公私立4年制大学・短期大学において、1年当たりの中退者は学生全体の2.10%となっています。これは人数にすると56,710人に上り、大学を中退することは決して珍しいことではないことが分かります。また、大学を中退した主な理由としてあげられているのは以下の通りです。
- 転学・進路変更等(22.0%)
- 学生生活不適応・修学意欲低下(16.5%)
- 就職・起業等(14.4%)
- 経済的困窮(13.6%)
- 学力不振(7.3%)
これらの理由は複合的に絡み合っていることが多く、一つの要因だけでなく複数の背景があることが一般的です。
大学中退のメリット・デメリット
では、大学を中退することのメリット・デメリットを具体的に見ていきましょう。
メリット
1. 自分のやりたいことに専念できる
大学に在籍することで行動が制限されていた場合、中退により時間と労力を自分の目標に集中できるようになります。起業や海外での活動等、大学との両立が困難だった夢に挑戦できます。
2. 学費の負担がなくなる
大学で学ぶために必要だった学費をはじめとする諸費用が不要となり、経済的な負担が軽くなります。
3. 早期に社会経験を積める
大学を中退して就職・起業する場合は、同級生より早く社会に出ることで、実践的なスキルや職業経験を積むことができます。
4. ストレスからの解放
学業不振や人間関係の悩み等、大学生活に関するストレスから解放されます。あらためて自分のやりたいことや将来について考える時間も十分にとりやすくなります。
5. 環境のリセット
新しい環境で心機一転、フレッシュなスタートを切ることができます。大学の環境が合わず、体調やメンタルに不調が出てしまった場合も、大学を中退して環境を一新することで改善する場合もあります。
デメリット
1. 最終学歴が高卒になる
大学を中退し、最終学歴が高卒となった場合、就職時の条件や給与面で制約を受ける可能性があります。厚生労働省による令和6年度の「賃金構造基本統計調査」によると、大卒の平均賃金は約39万円、高卒の平均賃金は約29万円と、10万円以上の開きがあります。
2. 就職活動での説明が必要
面接等で大学中退の経緯について詳しく聞かれることもあるでしょう。中退することを選択した理由について、第三者に説明できるようになっておく必要があります。
3. 学び直しの際に受験勉強が必要な場合も
他大学への再受験や専門学校への進学を希望する場合、学力試験が課される場合があります。受験勉強から離れて時間が経ってしまうと、負担が大きくなる場合もあります。サイバー大学をはじめ、通信制大学では学力試験が課されない場合もあります。ご自身の状況に合わせた進路選択が必要です。
4. 大学のサービスが受けられない
奨学金制度、図書館、キャリアセンター等の大学の支援やサービスはもちろん、学割等も大学を中退すると利用できなくなります。
5. 空白期間の発生リスク
明確な進路を決めずに大学を中退した場合、何もしない期間が生まれる可能性があります。体調の回復や経済面の立て直しに時間を取られる場合もありますが、退学後どう過ごすかを考えておくと安心です。
大学中退後の進路選択

大学中退後の進路には、以下のようなものがあげられます。
就職・起業
就職は最も一般的な選択肢です。高卒での就業となりますが、ベンチャー企業やNPO法人等では学歴不問で人柄や能力を重視する企業も増えています。企業への就職だけでなく、高校新卒者枠での公務員試験への挑戦等も人気のある選択肢です。
また、特定のスキルや事業アイデアがある場合、独立・起業という道もあります。ただし、十分な準備と計画が必要です。
資格を活かした専門職
資格を活かした専門職への道をめざし、簿記、IT関連資格、介護福祉士といった資格取得に取り組むという進路もあります。手に職をつけたい方にお勧めです。
海外留学
語学力向上や国際的な見識を広げたい方には、海外での学習や生活経験が貴重な財産となります。また、大きく環境を変えることは、自己成長につながり、より広い視野と柔軟な思考力を養うことができるでしょう。
他大学や専門学校の再受験
学習環境や専攻を変えて、あらためて高等教育を受けるという選択肢は、明確な目標がある場合に有効です。ただし、通学や集合型の授業を負担に感じていた方や、大学の時間割に合わせてスケジュールを組むことが難しかったという方は、進学先を慎重に検討する必要があります。最近では、通学不要で学位取得が可能な、完全オンライン大学もあります。
フルオンラインの通信制大学という選択
大学を中退したものの、やはり卒業して学士を取っておけばよかったと後悔する方は、残念ながら少なくありません。しかし、大学に再入学するには、学力試験が必要な場合があったり、通学にともなう時間的な負担・学費等の経済的な負担が発生したりといった多くのハードルがあります。
こういった負担を軽減して学べるのが通信制大学です。特に、サイバー大学のような完全オンライン大学には、以下のメリットがあります。
- 通学不要:全国どこからでも受講可能
- 柔軟な学習スケジュール:24時間いつでもどこでも自分のペースで学べる
- リーズナブルな学費:施設の維持費がかからない分、通学制の大学より学費が抑えられている場合が多い
通学制の大学に通い続けることが困難だった方でも、通信制大学なら自分のペースで学び直すことができます。
また、編入学の制度がある大学であれば、以前に在籍していた大学で修得した単位を、再入学先の大学の科目を履修したものとみなし、一部の単位が認定された状態で入学することが可能となります。そのため学費や就学期間の負担を軽減しながら効率的に学位取得をめざすことができます。例えば、サイバー大学であれば、修得した単位や在籍期間に応じて2年次・3年次への編入が可能な編入学制度が設けられています。
前向きな人生設計のために、サイバー大学という選択

大学中退は確かに一つの転機ですが、決してネガティブなものではありません。重要なのは、 現状を正しく理解し、 自分に合った進路を選択することです。
通信制大学という選択肢は、通学制の大学で学び続けることが困難だった方にとって、新しい可能性を開く道となります。サイバー大学のような完全オンライン大学では、編入学制度を活用することで、以前に修得した単位を無駄にすることなく効率的に学位取得をめざすことができ、また同じような境遇の学友との出会いも期待できます。
多くの人が大学中退後に充実したキャリアを築いています。適切な準備と行動により、必ず明るい未来を切り開くことができます。
一人で悩まず、家族や友人、専門機関に相談しながら、自分らしい人生の道筋を見つけてください。大学中退は終わりではなく、新しいスタートの始まりなのです。