
東海大学文学部、法政大学社会学部卒業後、2002年から2011年まで民間のシンクタンクで国や自治体の統計調査や産業振興・地域振興等に従事。この間、2008年に早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程を修了。2013年9月、同博士後期課程修了(博士(学術))。早稲田大学講師(任期付)、東京都立大学大学院助教等を経て、2023年4月より川村学園女子大学生活創造学部准教授。2014年より現職。
先生の専門分野とその出会いについて教えてください
私の専門分野は社会学や社会思想です。特に、社会学者であり思想家でもある清水 幾太郎の生涯と思想を研究してきました。サイバー大学では、教養科目の「社会学入門」を担当しています。
元々、大学生の頃はずっと考古学を専攻していました。社会学に転向するきっかけは、卒論のテーマにしていたイタリア半島のとある文明の社会構造を調べるために、遺跡でお墓の副葬品から身分や階層を分析してデータを集めていたときです。
その文明は、指導者を頂点にピラミッド構造の身分制社会となっていて、固い結束で後にはローマの台頭に立ち向かっていました。そこで不思議に感じたのが、身分制社会つまり貧富の差というデメリットを受け入れてまで、なぜ人々は社会に属し、固い結束を生むことができたのかという点でした。またそこから、自分が生きている現代も含めた、人間が社会を作ることの意味や機能にも興味が湧いてきました。
そんな興味から、先生の勧めで隣接分野である文化人類学を学んでいくうち、フランスのエミール・デュルケームという、著名な社会学者の著書に出会いました。そして、自分の興味や疑問に対する答えは、社会学にあるのではないかと考えたところから本格的に学び始めました。
社会学はどのような学問ですか?
皆さんも小学校の社会科をはじめ、中学校や高校までで、社会を構成する仕組みや事実について学んだと思います。そこでは、仕組みについての背景や問題を追及することはあまり無かったと思いますが、社会学の本質は当たり前のものとして存在する社会のなかに、問題や疑問点を見つけていくところにあります。社会学は、そういった人間と社会の仕組みを見抜く「まなざし」といえるでしょう。
また、ラテン語で「クレアタ・エト・クレアンス」とも呼びますが、私たちは社会によって作られると同時に、社会を作っている存在でもあります。例えば、きちんと信号を守る、道を譲ってくれた人にちょっと会釈をするといった行為も、どこかで私たちの社会に繋がっています。社会は、私たちが規範を守ることで、実践して作っているのです。その社会を変えるのは、必ずしも大げさな行動などではなく、私たち一人ひとりの何気ない行動、思いやりや言葉です。社会学は、浮き彫りになった問題と向き合い、よりよい社会を展望する学問でもあります。
社会学を学ぶ面白さはどんな点でしょうか?
社会学は、社会で起こっていることをうまく説明してくれる道具として活用できます。学ぶことで、世界の大きな事件にも日常の小さな出来事にも、人間と社会との関係が根を張っていることが理解できるようになるはずです。
例えば、インターネット上での「炎上」が話題になることがありますよね。いつもはみんな、社会の繋がりのなかで基本的に規範を守りますが、インターネット上で匿名性があると誤認してしまうとその気持ちが希薄になり、規範を無視して本音を言ったりやりたいことをやってしまいます。
一見怖い事件や不可解な事件があっても、その背景にどのような繋がりがあるか推察できれば、むやみにパニックや不安にならず、冷静に寛容な気持ちで捉えることができます。そういった目線で物事を見られるのが社会学の面白さです。
入学を検討されている方にメッセージをお願いします
何かを学びたい、大学に行きたいという気持ちがあっても、なかにはさまざまな事情から、大学に身体を運ぶことが難しいという人もいるでしょう。私も大学院時代のほとんどを社会人学生として過ごしたので、働きながら大学に通う難しさはよく分かります。心身に不自由なところがあって、勉強をしたくても大学に通うのが難しかった人も知っています。そういった悩みや難しさを抱えながら、なお学びたいという皆さんの意欲や期待を満たすひとつの選択肢として、インターネットを活用した通信制大学、サイバー大学は存在しています。
何かを学びたい、大学に行きたいという気持ちは、それ自身が何物にも代えられない宝物です。私たちは、そういう気持ちを皆さんに持ち続けて欲しいと思っていますし、皆さんの意欲や期待に応えられるよう努力を重ねています。一口に大学といっても、大学での学びには色々な形があります。さまざまな事情や制約に学びたい気持ちを諦めず、ぜひサイバー大学が提案する学びのスタイルを参考にしてみてください。
東海大学文学部、法政大学社会学部卒業後、2002年から2011年まで民間のシンクタンクで国や自治体の統計調査や産業振興・地域振興等に従事。この間、2008年に早稲田大学大学院社会科学研究科修士課程を修了。2013年9月、同博士後期課程修了(博士(学術))。早稲田大学講師(任期付)、東京都立大学大学院助教等を経て、2023年4月より川村学園女子大学生活創造学部准教授。2014年より現職。