1. 出会い
私の専門分野は、プレゼンテーション(以下プレゼン)です。
学生時代は、教育学部で書道を専攻していて、明けても暮れても書に打ち込む日々でした。学校の先生になるのが夢でしたが、転機になったのは阪神淡路大震災です。通信ネットワークに大きな被害が生じ、仲間との連絡が取れなくなりました。そのとき、通信や携帯電話がもつ役割の重要性に気づかされ、その普及に貢献したいという思いで通信事業の会社へ入社しました。
入社後は、営業部で1日に約100社へ飛び込み営業をするというハードな毎日を送っていました。そんななか気づいたのは、カタログを見れば分かる携帯電話のスペックをいくら説明してもモノは売れないということです。
自分の中にある「僕自身はこう思う」というお話をしたり、しっかり提案をしたりするようになって、少しずつ契約が取れるようになりました。この頃の気づきが、現在でもプレゼンのエッセンスになっていると感じています。
2. 学び
その後転職し、ボーダフォンの経営戦略に係る部署で、本格的にプレゼンの資料作りを始めることになります。いわゆるシンクタンクの会社と仕事をするのですが、ボリュームのある資料をハイレベルで短期間に作成するプロフェッショナルさに感動すら覚えました。それまでは我流だったので、第一線で活躍する方々の技術を学ばせてもらいながら、実践していきました。
その経験を活かして、プレゼンの技術を伝える方に転換したきっかけが、ソフトバンクグループを担う後継者発掘・育成を目的としたソフトバンクアカデミアへの参加でした。
そこでは、自分が社長だったらどうする?と視座を高めたプレゼンを作り込んだり、それを評価しあったりと刺激的でとても勉強になりました。そしてプレゼンで年間総合1位を取得したことなどから、ぜひその技術やノウハウをレクチャして欲しいと声がかかり、プレゼンの講師としての道を歩み始めました。
3. 大切なこと
説得力のあるプレゼン作りで気を付けることは何ですか?
テクニカルな部分は、私の授業を含めて後からでも学べます。その前にまず大事なのは、プレゼンのテーマについてどれだけ強い念い(おもい)をもてるかです。
ビジネスであれば、本当にその事業を自分がやりたい、または何のためにやるのかというのを自分なりに腹落ちしていないと、プレゼンも全然響きません。それこそ頭がちぎれるほど考えてみてください。
例えばある人があなたに、趣味である魚釣りを紹介するとします。単に「私は魚釣りが好きだから一緒に行きましょう。」と言われても、自分が好きでなければ行きませんよね。でも、エピソードなどを交えて本当に楽しそうに話されたら行ってみたくなると思いませんか?それは念いがこもっているからです。それと同じだと思います。
また、プレゼンが苦手、緊張してしまうという人は、アウトプットを定期的にもつことが大事です。私も昔はよく緊張してしまいましたが、1日に100社も飛び込み営業をしていると緊張する暇もなくすぐ慣れてしまいました。お箸を持ったり顔を洗ったりするのに緊張しないのと同じで、日常化したことでは人は緊張しません。プレゼンも場数を踏んでくださいね。
4. 面白さ
プレゼンやその資料作りは、企業理念について考え、自分というフィルタを通して提案や報告ができるのが面白いですよね。ビジネスのなかでもこれ以上ないくらいクリエイティブな仕事です。
またビジネスのみならずプライベートでも、人は生きていくうえで日々プレゼンの連続だといえます。
例えば、身体の具合が悪くなって病院へ行ったとします。ここが痛みます、こんな咳があります…など症状を医師へ正確に伝えないと、正しい治療をしてもらえないかもしれません。また、転職した、結婚したなどのライフイベントがあると、その時々で内容を変えながら、友人や親戚に自己紹介をする機会も多くあると思います。
そんなとき、一方的に自分の話を1時間聞いてくれる人はいませんが、5分であれば聞いてもらえる。その短い時間で、自然に伝わるプレゼンができるようになれば生活が楽しくなりますよね。
5. メッセージ
入学を検討されている方や、これから先生の授業を受講する学生にメッセージをお願いします
私は、セミナーなどでも講師としてよくお話をさせていただくのですが、直接お会いできる方にはどうしても限りがあります。その点、場所などの制限がないインターネットで映像を通してプレゼンの技術をお伝えできるのは、サイバー大学の授業のみの利点かなと思います。
担当科目の「プレゼンテーション入門」は、資料作りに特化した内容になっています。資料作りというといきなりパワーポイントを開いてしまう人もいますが、そうではなくちゃんと考えるところから始めようという、基本を大事にしています。
私がビジネスの現場で17年培ってきたノウハウが詰まった、明日から使える実践的な内容の授業です。ぜひ受講してください。