テクノロジー 2023.08.18

社会人が学ぶべきデータ分析

藤澤 弘美子 藤澤 弘美子 講師
社会人が学ぶべきデータ分析

本コラムでは、「社会人が学ぶべきデータ分析」をテーマに、私が考えるデータ分析のお話を書かせていただこうと思います。

データ分析との出会い

私が初めて分析らしい分析に出会ったのは、大学生の頃でした。人間の行動はどのような特性を持ち、何によって決まっていくのか、その仕組みに興味を持って当時は心理学を志し、毎日さまざまな実験を行い、計測データを統計検定にかけ、レポートを書くという日々を過ごしていました。統計検定ではややこしい計算をして、決まった作法で結果を記すことで、誰が見ても同じ確からしさをもって理解できる、そんな方法があるのね、と思ったのがはじめです。一方で、確率分布って何?5%水準で有意ってどういう意味?と当時はハテナだらけで、ピンとこないうえに扱いが難しいという印象もありました。

手ごわいイメージが変わったのは、因子分析と共分散構造分析を使って分析をした時のことです。
因子分析というのは、例えばアンケート調査の各質問項目について、個々の回答にはその背後に共通する「因子」が存在すると仮定し、その因子を探る分析です。例えば「オムライスが好きですか」「刺身が好きですか」等、さまざまな質問をし、その回答の傾向から、背景に「洋食好き」という、より抽象的な因子を見つけ出します。共分散構造分析も因子分析と似ていますが、こちらは複数の因子(共分散構造分析では「構成概念」と呼びます)同士の関係を分析する方法で、例えば「洋食好き」は「ワイン好き」のように、因子同士の関係の強さを計算によって明らかにしていきます。因子の命名等に恣意的な要素も入るのですが、因子間の関係は数値で表され、その姿はまるで、さまざまな質問に回答をする私たちが、何を考えどんな行動に表れているのか、目に見えない仕組みを視覚化しているようで、とてもワクワクした記憶があります。

そんな私が今大学でデータ分析を教える理由は、これまでの経験を通じて、データ分析が社会人として多くの場面で役に立つ、とても強力な知の武器になると考えるからです。

知りたいことは何か

データ分析を学ぶにあたり、皆さんにはまず、現状で知りたいことは何か、解決したい課題は何か、どんな未来にしたいか、これらにフォーカスして考えていただきたいです。データ分析の話から、いきなり課題解決や未来の話?と驚かれるかもしれませんが、実はこのプロセスはデータ分析にとって非常に重要なものです。

データは、動きや現象の記録です。その背後には、生き生きとした人や自然、絶え間ない機械の動き等があり、ある瞬間の状態をデータとして数や言葉に置き換えています。

そしてデータ分析により、今見える現実、1点のデータでは見えなかった姿が私たちの目に映し出されてきます。もしそれが自分自身の知りたかったことであれば、さらに次の思考、次のアクションへとつながっていくでしょう。そのため、データ分析ではスタート部分の「何を知りたいのか、それをどうしたいのか」という点が非常に重要になってきます。

分析の方法は、平均値のように非常に単純なものから、機械学習のモデルを何層にも重ね途中過程はもう人間の理解をはるかに超えた複雑さを持つものまで、山ほどあります。しかし大切なのは、その複雑さや理解のしづらさを超えて、データ分析で皆さん自身の知りたかったことを明らかにしていくということです。

自分の言葉で説明する

もうひとつ重要なことは、分析の結果を自分の言葉で説明できるように理解するということです。もともとの動機が自分の知りたかったことですから、そのために分析した結果が「5%水準で有意です」では、一体何のことか分からないですよね。

例えばある人は、自社で伸び悩む売り上げの改善を課題とするかもしれません。このような場合に、売り上げは現状までどのような推移をたどっているのか、さらに売り上げの上下に影響する要因は何かをデータ分析によって探るとします。

すると分析の結果は、自分で理解し、売上を向上させる要因をどう実行するか、現実的なアクションにつなげていく必要があります。そのために、結果を自分の言葉で理解し、また周りの人と協力してアクションを実行する場合は、分析結果を自分以外にも伝わるように説明することが必要になってきます。

サイバー大学で学べること

本学では、確率論や統計学の基礎から、さまざまな分析手法、機械学習のアルゴリズム等、データの取り扱いに関することを、多様な切り口と複雑さをもって学んでいきます。

理論の説明をただ聞くだけでなく、演習を通じて実際に分析を体験し、結果から読み取ったことを自分自身の言葉でレポートに記すことで、適切な解釈と表現を身に付けます。また、データ分析とプログラミングは密接に関連しており、本学の授業でも学生の皆さんがプログラミングでデータ分析を実行できるようになるようにデザインされたものが多くあります。

サイバー大学では、ビジネス、テクノロジーの両面から、実践的にデータ分析の知識を深めていくことができます。ぜひ本学での学びを、現実の問題解決やあらゆる場面での意思決定に活用してください。

最後に

高齢化する社会をより少ない労働人口でどのように支えていくか、自然災害を予測しどのように共存していくべきか、身近な機械をより安全に制御するにはどのようにすればよいのか、現代社会には解決すべき課題が尽きません。この課題に私たちみんなで立ち向かい、自分の意思をもってデータを活用し、よりよい未来に変えていくことが期待されています。
ぜひ、大学の学びでデータ分析に関わる多くの知識を身に付けてください。そしてその学びを最大限に活かし、皆さんの思い描く未来を現実にしてください。
サイバー大学では、そんな皆さんを精一杯応援しています!