教養・外国語 2023.05.18

ウェルビーイングとビジネス

中村 悟 中村 悟 客員講師
ウェルビーイングとビジネス

コロナ禍を経て数年ぶりに、気兼ねなく人と会える、運動できる、旅行できる等、日々の生活を満喫されている方も多いかと思います。本コラムでは、2020年前後から注目されつつある「ウェルビーイング」について解説します。ビジネスとの関係性やウェルビーイングの高め方等、ご参考になれば幸いです。

ウェルビーイングとは

まず、幸福学の第一人者である前野隆司先生の説明がとても分かりやすいので引用しますと、ウェルビーイングとは、文字通り「良好な状態(Well-being)」です。似ている言葉であるhappy/happinessは幸福感という感情を指しており、well-beingは健康や幸福感、福祉等を広く含んで捉えています。

また、私の解釈でのウェルビーイングは、「いまこの瞬間を楽しむこと」です。食事をじっくりと味わったり、人の話をしっかり聞いたり、鳥の鳴き声を感じながら歩いたり。日常にあり、目の前にある一瞬一瞬を楽しめるのは、まさに「良好な状態(well-being)」と呼べるのではないでしょうか?

なぜ注目されるのか

ここで、クイズです。以下のグラフは、何を示しているものでしょうか?
「Googleトレンド」というGoogleでの検索数の推移をグラフ化できるサービスで、とあるキーワードの過去10年間分を調べたもの、というのがヒントです。

答えは、「ウェルビーイング」と検索された数の推移です。2020年前後から右肩上がりになっており、注目されていることが分かります。

では、なぜ、注目されてきているのか?
それは、本来あるべきウェルビーイングが不在だったことに気付いてしまったからです。
コロナ禍において、一人ひとりが自粛生活による運動不足やストレス、メンタル不調等、心身のコンディションを保つのが大変でした。そして、社会的にも世界の情勢不安や金融危機・破綻、大量リストラ等、不安定な日々が続きました。日々の生活にウェルビーイングはあるはずだったのに…。しかし、奇しくもコロナ禍のおかげで、ウェルビーイングの必要性を取り戻したと言えるかもしれません。

ビジネスとの関連性

さて、ウェルビーイングの必要性、重要性が増してきたのは、仕事に関わるデータもあるためです。『ハーバード・ビジネス・レビュー』 2012年5月号「幸福の戦略」という特集号で、次のようなことがあきらかなエビデンスとして紹介されていました。

“幸福感の高い社員は、
・創造性3倍、生産性31%、売上は37%高い
・欠勤率が低く、離職率が低い”
というものです。

これは、成功するから幸せになるのではなく、「幸せだから成功する」というメッセージです。社会貢献、自社の売上利益のためには、社員のウェルビーイングを高めるところから始めようというのが、グローバルでのビジネスでは当たり前の認識になってきています。

また、日本でも、上記のGoogleトレンドのグラフでもあったように、ビジネスパーソンの興味関心の高まりに応じて、ウェルビーイング関連の書籍をはじめ、イベントやシンポジウム、アワード等、多くの取り組みが増えてきました。企業もウェルビーイング経営を打ち出したり、CWO(チーフ・ウェルビーイング・オフィサー)の役職が設置されたり、よりビジネスとの関連性は強まってきそうです。

ウェルビーイングを高めるコツ

では、どうやって、ウェルビーイングを高めていくのか?気になりますよね。
TEDトークで、ショーン・エイカー「幸福と成功の意外な関係」という動画があります。
https://www.ted.com/talks/shawn_achor_the_happy_secret_to_better_work?language=ja

“・ポジティブな体験を書き出す
・ありがたい、と感じることを3つ書き出す
・2分間の瞑想をする
・2分間で知人の誰かを称えるメールを書く”
等、いくつかウェルビーイングを高めるコツを紹介しています。どれかやってみたいことはありますか?
また、他にもウェルビーイングを高める有効なアプローチとして、呼吸に注意を向けるマインドフルネスをオススメしている学者もいます。

サイバー大学の教養科目「マインドフルネス入門」では、ウェルビーイングを含む座学からワークまで幅広く網羅しています。興味関心をもった方は、ぜひ体験してみませんか?
あなたにとって、毎日がワクワクで楽しく、ウェルビーイングで満ち溢れますように。