ビジネスモデルは、その名の通りさまざまなビジネスをモデル化（類型化）して、その仕組みの特徴や優れた点を明確化したものです。このビジネスモデルの知識を活用することで、既存事業を分析したり、新規事業の仕組みを検討したりすることが可能になります。

　近年、ビジネスモデルに対する注目が高まり続けていますが、この理由は2つあります。1つはさまざまな新しいタイプのビジネスが生まれているためです。例えば、サブスクリプションやフリーミアム、ロングテール、シェアリング、クラウドソーシング等、斬新なビジネスが続々と登場しています。皆さんも、いくつかは耳にしたことがあると思いますが、それがどのようなものかを、きちんと説明するのは難しいと思います。しかし新規事業を創造する際には、このような新しいビジネスの特徴について明確に理解し、その優れた要素を適切に取り入れる必要があります。

　また現在、デジタル社会になり、さまざまな境界が不明瞭になっていることも理由の1つです。デジタル技術の進化によって従来の業界の境界があいまいになり、異業種からの参入が増加しました。例えば自動車は、ネットに常時接続するIoTデバイスであるという考え方が生まれ、IT関連企業の参入が顕著になっています。さらにインターネットの発展により、ネット上でプラットフォーム型ビジネスをグローバル展開する企業が増加しました。このような状況下において、従来の業界分析だけでは新たな競合企業と戦っていくことが難しくなっているのです。

　サイバー大学では「ビジネスモデル構築論」を開講しています。この講義では以下の5つのテーマについて学んでいます。

①ビジネスモデルの概念や用語
②代表的なビジネスモデルを具体的な事例を通じて知る
③ビジネスモデルのフレームワーク
④ビジネスモデルのフレームワークを利用して、既存ビジネスを分類・分析する方法
⑤ビジネスモデルのフレームワークを利用して、新規のビジネスモデルを構築する方法

　このなかで②では具体的な企業事例と併せて、代表的なビジネスモデルを学習していきます。この知識を習得することで多種多様な企業やビジネスを分類することが可能になります。例えばユニクロとニトリは扱っている商品は異なりますが、どちらもSPA（製造小売）というビジネスモデルを採用していることが分かるようになります。

　③のフレームワークとは、ビジネスを考える際に利用する思考の枠組みや分析ツールのことを言います。このツールを使うことで思考やアイデアを整理して、検討を深めていくことができます。企業において多人数でビジネスを考える際にはフレームワークを活用することで、メンバー間の議論や情報共有をスムーズに行うことが可能になります。

　ビジネスで利用されるフレームワークにはさまざまなものがありますが、ビジネスモデルのためのフレームワークもいくつか存在します。サイバー大学の授業では「ビジネスモデルキャンバス」というフレームワークを主に活用しています。これは顧客セグメントや価値提案等、ビジネスモデルを構成する9つの要素を検討していくものです。

出典：アレックス・オスターワルダー他『ビジネスモデル・ジェネレーション』（図の一部を変更）

　このビジネスフレームワークを使いながら、既存企業のビジネスモデルを分析したり、新規事業に必要な要素を検討したりしていきます。

　ビジネスモデルはどのような人が学ぶべきなのでしょうか？
新規事業を立ち上げたい人や、企業で働いていて自社の事業を分析したい人はもちろん対象となりますが、就職活動のために企業分析を行いたい学生にも有用です。投資をしている方は将来性のある企業を探索・分析するのに役立つはずです。また、代表的なビジネスモデルについて全般的に知りたい人にもお勧めです。ビジネスモデルを学ぶことで現代のビジネスを概観する力が身に付いていくからです。

　ビジネスモデルに興味を持った方は、関連書籍を読んでみたり、サイバー大学での受講を検討してみたりしてください。

2023年度 第1回「サイバー大学 IT・ビジネスセミナー」
「ビジネスモデル“超”入門」アーカイブ動画公開中