IT総合学部 教員コラム

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【第18回】2012.12.28

卒業研究について

横山輝明

横山 輝明 Yokoyama Teruaki

2007年4月よりサイバー大学に就任。奈良先端科学技術大学院大学にて外部研究員を兼任。インターネット分野における研究開発に取り組む。近年では、インターネットを利用したユビキタスアプリケーションの実現に向けて、サービス指向の通信モデルに関する技術開発や、人間の興味嗜好を機械に理解させるためのソーシャルネットワーク技術の応用について研究を行う。また、アジア地域における研究教育を支援するAI3プロジェクトでは、プロジェクト運営と人工衛星を利用したインターネット構築技術の研究開発に携わる。WIDEプロジェクト所属。

卒業研究について

みなさん、こんにちは。IT総合学部の横山です。サイバー大学の開学から約5年が経ち、ついに卒業生を送り出すに至りました。サイバー大学では、大学生活の集大成として卒業研究に取り組んでもらっています。私の研究室でも、6名の学生が卒業研究を修了し、今は5名の学生が卒業研究に励んでいます。

 

卒業研究とはどういうものか想像がつきますか?「研究」と聞くとちょっと難しそう、大変そうなどと思うかもしれません。確かに、卒業研究に取り組むにはそれなりの時間と努力が必要です。しかし、その苦労に見合うだけの勉強になります。今日はこの卒業研究について紹介します。

卒業研究では、「自分で問題を作って自分で答えを出す」ということに挑戦してもらいます。この「自分で問題を作る」というところが卒業研究の特徴です。これまでの学習では、他人から与えられる問題に対して答えを導きだすことに取り組んできたという方が多いのではないでしょうか。それに対して、卒業研究では自分自身が問題を作り出すことから始めないといけません。「自分だけの問題に取り組むことができる」という自由度の高さこそが卒業研究の魅力でもあります。

卒業研究では、問題の設定は自由です。困っていることを解決するという問題を選ぶ人もいれば、何かを分析するという問題を選ぶ人もいるでしょう。そして、問題を決めた後は問題に対して答えを導き出す方法も決めなければいけません。この答えを探してくるための手段・方法も自由です。ものづくりをする人もいれば、文献調査をする人もいるでしょう。このとき、これまでの他者の取り組み事例も気になりますね。先行研究や既存の取り組みについても調査してみましょう。自分なりの答えが見えてきたら、今度はその答えが本当に正しいのか検証・評価をする必要があります。実験やシミュレーション、あるいはフィールドワークなど検証と評価方法もまた自由です。ここまで達成できたら、次のステップは成果報告です。この報告を「卒業論文」と言います。プロセスを全て記録して報告してもらいます。

いきなり一息にまとめて説明しましたが、これが卒業研究の流れになります。大変そうに感じさせてしまったかもしれません。けれども、恐れる必要はありません。卒業研究では基本的な流れがあるので、それに従って各段階をしっかり進めていってもらえれば大丈夫です。問題発見のプロセスでは、みなさんの仕事や日常生活、ときには専門書籍などから問題と思うことや気になることを見つけることができるといいですね。自分が一番気になることに挑戦できるのはとても楽しいものです。

サイバー大学のなかでも、先生によって卒業研究の分野や方法論もいろいろと変わってくると思います。みなさんが自身の興味に合った先生と出会えることを祈っています。そのためには、ぜひとも先生と積極的にコンタクトをとって相談をしてみてください。

私の研究室では、コンピュータやインターネットに関係することならばなんでもありということで卒業研究の学生を受け入れています。テーマは自由ですが、その代わりにテーマ選択はしっかりと自分で決めてもらっています。

これまでにもいろいろな卒業研究のテーマがありました。以下は、卒業した6名の卒業論文のタイトルです。
- 位置情報とメッセージを用いたサイバー大学学生間コミュニケーション支援システムの設計と実装
- Twitterからのユーザー移動履歴の収集と可視化
- 組み込み型マイコンを用いたネットワークサービス型の赤外線リモコン・システムの設計と実装
- Twitterを利用した音楽情報の収集と分析
- コミュニティFM局向けTwitter利用支援システムの設計と実装
- インターネット上での一般ユーザーに対する無差別攻撃の受動観測と分析

そして、この3月に卒業予定の学生さんたちは、端末間のすれ違い通信を利用した通信機構の開発(図1)、サイバー大学の講義内コミュニケーションシステムの開発(図2)、Android/PCの機器間連携機構の開発(図3)に取り組んでいます。

図1: 端末間のすれ違い通信を利用した通信機構
図2: サイバー大学の講義内コミュニケーションシステム
図3:Android/PCの機器間連携機構

私の研究室では、それぞれ各学生が興味をもったことについてシステム実装や調査分析などに挑戦してもらっています。そして、アイデアを実現することを学んでほしいと思っています。これには実現可能性を意識することが重要になります。プログラムを作成して動かしてみるのが、そのための一番ストレートな方法です。しかし、プログラム作成だけが卒業研究ではありません。設計や提案の場合でも現在の状況をしっかりと調査分析したうえで考察してもらいたいですね。また、調査や分析でもしっかりと手を動かして成果を出してもらえればと思います。自分の考えたことを形にするということに挑戦してみてください。

卒業研究とは、研究における方法論を体験する機会になります。研究における方法論と聞くと、自分と無関係に思うかもしれませんが、これは研究だけに役に立つものではありません。卒業研究を通じて、自分で考えて自分で答えを出すことを学んでもらいます。この方法論を経験することで、問題発見能力、問題解決能力、調査能力、報告能力などなど、さまざまな実践的能力を身につけることにつながるでしょう。そして、これらの能力は仕事に限らず、日常生活においても有益なものになると思います。個別の講義において身につく知識もさることながら、このような一生ものの知恵の獲得こそが大学が提供する教育なのです。

教員は教育を通じて、やる気のある学生と出会うこと、そしてその学生の成果に期待しています。学生のみなさんも、教員へのコンタクトは遠慮なくとってくださいね。それでは!

サイバー大学 IT総合学部 講師 横山輝明
メールアドレス: teruaki_yokoyama [アットマーク] cyber-u.ac.jp
研究室Web: http://itbiz.cyber-u.ac.jp/~tel/

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