世界遺産学部
エジプトを掘る
少しでも多くの知識と経験を積み、その上で見識を作ってこそ人間としてこの世に生み出された意味が出る

吉村 作治
Yoshimura Sakuji
私、吉村作治がエジプトで活動した40年余の報告およびそこから得た考えを全7回で、写真、図などを交えて講義する科目です。
教員が語る「実践力を育む授業」
エジプトを掘る
私、吉村作治がエジプトで活動した40年余の報告およびそこから得た考えを全7回で、写真、図などを交えて講義する科目です。
私が初めてエジプト発掘に憧れたのが10歳のときですから、数えて50年余も経っています。初めてエジプト現地へ調査隊を派遣したのが1966年。エジプトで発掘したいと思ってから12年で行くことができましたが、それからの経験はすさまじいものがあります。
今日までの40年を4段階に分けますと、第1段階は、発掘権を得るまでの約5年と最初の発見までの4年です。これは、エジプトで発掘することを世界的に認められるための活動と位置づけられます。草創期の苦しみは、産みの苦しみに例えられますが、当時は1日たりとも油断できませんでした。
そして第2段階。1974年のマルカタ南魚の丘遺跡発見の後はそれなりに進んだのですが、この時期はエジプト考古庁の内部組織の変更や世界情勢、特に中東紛争の激化に伴う文化活動の難しさを味わいました。それに加
え、隊長であった川村喜一先生の急死によって、調査隊の派遣すら危うくなったのです。しかしそれも解決でき、私が中心となる組織が早稲田大学の中にでき再発進できました。
第3段階は、資金難、人材育成の難しさ、他の調査隊との調整など新しい難問が出ましたが、ハイテク技術を使っての新発見が次々と出て、社会的認知が高まり右肩上がりとなりました。
仕上げの第4段階では、ハイテク、特に人工衛星の画像解析によって発見したダハシュール北遺跡から未盗掘の完全ミイラ、未開封木棺と発見が相次ぎ、世間ではエジプト関連のテレビ番組が多く出てきて、調査がとてもやりやすくなりました。
こうした歴史を学ぶことによって、受講生には「夢は叶うものだ」と知ってほしいです。この科目では、どうしたら夢を叶えることができるのかも伝授しています。もちろん、努力、忍耐、行動は欠かすことができませんが、運も大切な要素であることがわかります。いわゆる発掘はプロジェクトマネージメントですので、どんなことをやるにしてもその要素は同じであることがわかっていただけると思います。
この授業を受けた後、是非皆さんにもエジプト現地での発掘に参加していただきたいと思います。関連の科目をとりながら実地の調査から身をもって学ぶことは、ややもするとインターネットで学習するe-ラーニングへの批判をひっくり直すものとなるでしょう。
人間は必ず死ぬものです。ですから死ぬ前に少しでも多くの知識と経験を積み、その上で見識を作ってこそ人間としてこの世に生み出された意味が出るのです。
学生諸君はそれぞれの人生を歩んできたと思いますが、この科目を受講することで、ひとつのことに集中すると世界の中でも指折りのランクの人間になることもできるということを知ってください。
最後に申し上げますが、学問は楽問でなくてはいけません。




















